菅義偉官房長官は26日の記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、翁長雄志知事が埋め立て承認を取り消した場合でも、「移設工事を進めていく考えに変わりはない」と断言した。

 前日に翁長氏が共同通信のインタビューに答え、県の第三者委員会から承認取り消しが提言されれば「取り消すことになる」と発言したことへの反論である。

 沖縄側がどう出ようが関係ないといった、相変わらずの態度だ。

 知事は、以前から「取り消し」の可能性について言及しているが、今回の発言はこれまでの主張を再確認したものだといえる。

 官邸が間髪を入れず反応したのは、過去の経緯からすれば驚くには当たらない。

 辺野古の海に投下された大型コンクリートブロックがサンゴ礁を破壊した可能性が高いとして、今年3月、知事は沖縄防衛局に現場での作業の停止を指示した。防衛局は行政不服審査法に基づき、すかさず指示取り消しを「身内」の農相に申し立て、農相は知事の指示を「無効」とした。

 翁長氏が埋め立て承認の取り消しを行った場合、国は前回同様に取り消しの法的効力が発生しないような対抗手段に出てくるのは確実である。

 政府は「工事を進めながら裁判で争う」との前提で全ての作業を進めている。これに県がどう立ち向かうか、これからが正念場だ。

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 菅氏は会見で「自然環境や住民生活に配慮して工事を進める」「手続きに瑕疵(かし)はない」とも語った。その主張は説得力に欠ける。

 今、最も大事なのは7月にも報告をまとめる第三者委の検証結果の信頼性である。 

 公有水面埋立法には「環境保全への十分な配慮」など六つの免許基準があり、全てを満たさなければ承認できないことになっている。第三者委はその基準に適合していたかについて、詳細な検討を続けているところである。

 知事が埋め立て承認を取り消した場合、国との裁判になるのは間違いない。知事の承認取り消しに正当性を与えるのは何か。それは第三者委の客観的で緻密な信頼性の高い検証である。信頼性の高い検証結果が、承認取り消しの正当性を高めるのだ。

 国が埋め立て工事を続行する理由と、県が新基地を拒む理由の、どちらに正当性があるのか。それを内外にどれだけアピールできるかの勝負になるだろう。

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 そもそも承認の前提となった辺野古アセスは、工事の影響を小さく見積もるなど専門家から「史上最悪」と酷評された。県外移設の公約を掲げ当選した仲井真弘多前知事の承認判断も、県議会や県民への事前説明は一切なく、独断専行の非民主的なものだった。さらに退任の4日前に「駆け込み」で埋め立て工事の変更申請を承認したことも許されない暴走である。

 こうした点も含めて第三者委員会には、総合的な見地から後世に恥じない検証結果をまとめてもらいたい。