那覇新港で車いすの男性がフェリーへの乗船を断られた問題で、県の差別等解消調整委員会が「差別的と疑われかねない取り扱い」との意見をまとめ、海運会社へ対応の見直しを求めた。

 3年前に施行された「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」(共生社会条例)に基づき設置された調整委員会の初の助言となる。

 会社側の不当な取り扱いは明らかである。差別を受けたとして行動を起こした男性の勇気を、社会に合理的配慮を根付かせる契機とすべきだ。

 男性は兵庫県在住で、脳性まひのため電動車いすを利用している。今年3月、マルエーフェリー(鹿児島県)が運営する那覇新港発神戸行きのフェリーに乗ろうとした際、「付添人がいない」「安全確保が図れない」などを理由に乗船を拒否された。

 過去に国際航路を含む長距離フェリーに何度も乗ったことがあり「拒否は初めて」と憤り、県に差別を解消するための助言・あっせんを申し立てていた。

 調整委員会が「乗船口まで送迎する方策を検討した形跡がなく、断るという前提ありきだった」と会社側を批判したのは、安全を確保した上で貨物車両用スロープの利用など解決策を探る努力がみられなかったからだ。

 付添人がいないため急病時の対応を懸念していたことについても、「障がいのない人でも急病になることはある」と妥当性を欠く理由と指摘する。

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 「不当な差別的取り扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を盛り込んだ障害者差別解消法の施行から約1年半。合理的配慮については、障がい者から社会にある障壁を取り除く要請があった場合、負担が重すぎない範囲で対応するよう企業に努力義務を課している。

 マルエーフェリーは男性に対し、「不快な思いをさせた」と謝罪した。今回の問題を機に、車いすのまま乗り降りできる介護福祉車両も購入した。

 再発防止策に取り組もうとの姿勢は前進と受け止める。しかし、なぜ乗船を断るという前提ありきの対応となったのか、合理的配慮を欠いた理由については、しっかりとした検証が必要だ。

 調整委員会の意見にもあるように、障がい者への対応マニュアルの作成、乗組員・社員教育など改善策の着実な実施も求めたい。

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 奄美空港で格安航空会社(LCC)のバニラ・エアを利用した車いすの男性が、介助を受けられずにタラップをはって上らされたことが問題になったばかりである。

 同社は謝罪し、すぐさま電動式の階段昇降機を導入したが、公共交通機関で搭乗や乗船、乗車を拒否され、悔しい思いをしている人がほかにもいるのではないか。

 障害者差別解消法が差別解消に向けて責務を負うと規定するのは行政であり国民である。

 差別を受けた側が声を上げなければ変わらない、という現状はおかしい。