【解説】菅義偉官房長官は26日、翁長雄志沖縄県知事が名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した場合でも、工事を進める考えを示した。翁長氏が共同通信のインタビューで、第三者委員会から許可取り消しが提言されれば「取り消すことになる」との踏み込んだ発言に強く反発した形だ。

 背景にあるのは、3万5千人を集めた県民大会や24日の国会包囲行動などで繰り返し示される辺野古新基地建設反対の民意と、それに呼応する世論の広がりに対する警戒感だ。

 仲井真弘多前知事から受けた承認を唯一の「錦の御旗」に政府の正当性を強調し、辺野古移設への強い意志を示すことで本土に広がる辺野古反対論に歯止めをかけたいとの狙いがある。

 また、27日から訪米し、新基地建設反対と沖縄の不条理の歴史を米側へ訴える翁長氏を、けん制する意図も垣間見える。

 こうした対応の裏側にあるのは政府の「焦り」だ。25日に首相官邸であったかりゆしウエアの贈呈式では当初、安倍晋三首相ら政府首脳は翁長氏との面会に消極的だった。

 だが、マスコミ各社の世論調査で沖縄に理解を示す結果が出るなど、政権に批判的な世論を強く警戒し、翁長氏との面会に踏み切った。中谷元・防衛相も26日、近いうちに沖縄を再訪し、稲嶺進名護市長と会談する意向を示すなど、沖縄への「配慮」や「融和姿勢」をみせる。

 辺野古移設に固執する政府は、日米首脳会談の場でも辺野古推進の方針を確認した。対米追従に終始する日本政府にとって、「工事の遅れや計画変更は許されない状況」(政府関係者)だ。

 菅氏の発言は世論を片目でにらみつつ、国内で反対が広がる辺野古移設を無理にでも実現しなければならないという、苦しい日本政府の現状をあぶり出した形ともなった。(東京支社・大野亨恭)