【連載「働く」を考える】第4部・インタビュー 県中小企業団体中央会会長 津波古勝三さん

 −沖縄が低賃金なのはなぜか。給与水準は本土の8割に満たない。

給与水準アップには、生産性向上や産業構造の改善が必要だと話した県中小企業団体中央会の津波古勝三会長

 「県内は、戦後や復帰後に設立した企業が圧倒的に多く、企業の経営基盤がまだ脆弱(ぜいじゃく)だ。戦後、先輩たちがねじりハチマキをして、馬車を引きながら頑張って、ここまで来た。今も途上にある」

 「低賃金は、労働生産性が低いのも大きな原因だ」

 −賃金は適切だと思うか。

 「適切だとは思っていない。できれば本土並みに上げたい。沖縄は、例えば豆腐や麺を作るにしても、原材料を県外に頼っており、原価が高くなる。諸事情あり、あえぎあえぎ経営しているのが沖縄の現状だ」

 「好景気に見えても、必ずしも企業の収益増につながっていない。アベノミクスによる経済成長の恩恵は受けていないと感じる」

 −給与水準を上げるためにどうすればいいか。

 「生産性を上げなければならない。利益率が高い製造業の力が弱いので、もう少し製造業を大きくする努力が必要だ」

 −県内で労働基準法違反で逮捕される経営者が出た。

 「逮捕された事案はかなり悪質な事例とみられるが、こうした違反で企業は不名誉を被り、信用失墜につながることが認識されたと思う。三六協定の締結などは、法律で決められた企業の義務であり、周知活動を強化したい」

 −沖縄の労働環境は改善するべきだと思うか。中小企業団体中央会として今後、具体的に何をしていくか。

 「改善すべきだ。労働環境改善のためには、人手・人材不足解消、収益向上、労働時間短縮が効果的だ。人手・人材不足の問題では、給与や待遇の改善が新規採用や離職防止につながる認識を高めたい。その対策として、中小企業の退職金支払いを国が助成する『中小企業退職金共済制度』を広めるほか、成功事例を周知する」

 「収益向上には生産性向上の取り組みが欠かせない。それが給与上昇につながる。中央会は中小企業の新商品開発や設備投資を支援する国の『ものづくり補助金事業』の沖縄事務局を務めており、延べ322社に約30億円を交付してきた」

 「労働者の雇用環境は業種や事業所の規模によってさまざまだ。改善は一律とはいかない。業界組合ごとに改善策を練って実践することが最も効果的だろう。その方向でさまざまな公的施策を活用しながら、組合員の支援に努めたい」(聞き手=学芸部・高崎園子)