安倍晋三首相の衆院解散表明の記者会見にぶつけるように、小池百合子東京都知事が自身を代表とする国政新党「希望の党」の立ち上げを発表した。

 自ら「選挙の顔」として前面に立ち、政権批判の受け皿であることを国民にアピールする狙いがあってのことだろう。希望の党旗揚げで選挙戦の構図は大きく変わろうとしている。

 小池氏が目指すのは保守の立場で改革を進める政党だという。政策に「議員定数や議員報酬の縮減」「女性活躍」「地方分権」「原発ゼロ」を掲げ、改憲については9条にこだわらない考えを示した。

 環境・エネルギー政策で原発ゼロに踏み込んだことは、安倍政権との明確な対立軸となる。目玉公約として道筋を示せば、世論調査で過半数を占める脱原発を求める人たちの期待を集めるのではないか。

 ただし政策の肉付けはこれからだ。目指す「国のかたち」ははっきりしない。

 民進党離党組に加え、自民党より保守色の強い日本のこころ代表までが参加する顔ぶれからは、立ち位置のあいまいさが漂う。

 新党の勢いに乗って当選したいとの本音が見え隠れする保身の政治家もいて、選挙互助会的要素も否定できない。

 小池氏のパフォーマンスが目立ち、実態が見えない政党である。都政で小池氏と協力してきた公明党は国政では自民党と連携している。

 都知事選、都議選に続き「小池旋風」を起こすことができるかは未知数だ。

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 ここにきて野党再編の動きが一気に表面化している。

 希望の党設立から一夜明けた26日、民進党では新党への駆け込みを目指した離党の動きが加速した。現職の衆院議員に続き、地方でも党の候補予定者が新党合流の意向を相次いで表明した。

 前原誠司代表は希望の党との連携に期待感を示すものの、小池氏は「柱になる政策への同意が必要」として包括的な選挙協力には否定的である。

 今後「安倍対小池」の構図が際立っていけば、安倍政権のおごりや緩みに対する批判票は希望の党に集まり、民進党は野党第1党の地位からも転落しかねない。

 巨大与党に対抗するには候補者調整が欠かせない。だが前原氏は野党第2党である共産党との選挙協力には消極的だ。政策的な連携の模索に残された時間は短い。

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 安倍政権への批判は依然として強いというのに、野党の混沌(こんとん)とした動きに有権者の間には戸惑いが広がっている。

 野党候補者が乱立し共倒れを招いた2012年の衆院選を思い出す。

 今必要なのは「反安倍」で結集し、与野党が1対1で対決する構図となる選挙区を広くつくるよう努力することではないか。

 野党が候補者を乱立させれば、票の奪い合いになり、与党に漁夫の利を与えるだけである。 

 自民党の補完勢力ではない中道リベラル勢力の台頭が求められている。