名護市辺野古の新基地建設をめぐって、埋め立て用土砂の採取予定地となっている西日本各地の市民団体が、土砂搬出に反対する全国連絡協議会を結成した。「辺野古の海に土砂を入れさせない」とする沖縄の闘いに呼応するように、「辺野古に土砂を出さない」と立ち上がった心強い仲間だ。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設に向けた国の埋立申請書によると、辺野古沿岸部の埋め立て面積は約160ヘクタール、埋め立てに使う土砂総量は東京ドーム17個分に相当する約2100万立方メートルとされる。うち約1600万立方メートルを県内2地区、県外7地区から購入する。

 全国連絡協の設立会議には、採取予定地の瀬戸内(愛媛県など)、門司(福岡)、奄美大島(鹿児島)の3地区から環境保護などに携わる6団体が参加。天草(熊本)、五島(長崎)、徳之島(鹿児島)の3地区からも賛同の声が寄せられている。

 これら地域の多くは過疎化が進み、採石が重要な産業となっているところだ。声を上げるのがためらわれる中、門司から参加した女性は「でもやっぱり地元の山が辺野古のために削られるのは嫌だ」と語り、共同代表に選出された環瀬戸内海会議の阿部悦子代表は「故郷から辺野古に土砂を運べば私たちは加害者になる」とあいさつした。

 採取地をほぼ網羅する新たな運動を支えるのは「辺野古は私たち地域の問題」という当事者意識である。

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 設立会議で採択された決議文には「対象地は高度経済成長下で資材供給を担わされ、破壊と公害に苦しんできた地方が少なくない。新たな大量の土砂供出は、再びふるさとの荒廃を加速しかねない」と書かれている。

 新基地建設によって、辺野古と採取地の自然が二重に破壊されることを、私たちも心に留めなければならない。

 現に奄美では辺野古埋め立てを見込んで拡大された採石場から海へ土砂が流れ込み、漁業被害が報告されている。

 「山を削れば海が枯れる」。環境に大きな影響を与えるにもかかわらず腑(ふ)に落ちないのは、採石業者を経由するため沖縄防衛局には環境影響評価(アセス)の義務がなく、課題となっているアルゼンチンアリなど外来種の混入対策も業者任せにしていることだ。

 採石業者に責任を押し付ける「アセス逃れ」である。     ■    ■

 沖縄の豊かな自然は、脆弱(ぜいじゃく)な島しょ生態系の上に成り立っている。外来種の影響を受けやすく、他の地域より強い規制を必要としているのだ。

 県議会与党会派は外来種混入を厳しくチェックするなど県外からの土砂搬入を規制する条例案を準備している。搬出に反対する各地の運動と、搬入を規制する条例がうまく結びつけば、新基地阻止への大きな力となるだろう。

 5月30、31日に実施された共同通信社の全国世論調査で、移設作業を停止すべきと答えた人がほぼ半数に達するなど、沖縄の運動に共感する声がさらに広がっている。

 もう孤独な闘いではない。