命がけの言葉の数々が戦時下のドイツにちりばめられる。はがきに記すしかなかった父と母の心の叫びを伝える実話。子の命が何より大切という普遍的な感情が押し込められた、灰色の時代の残酷さと親の強さを物語る作品。

ヒトラーへの285枚の葉書

 舞台は1940年、戦勝ムードに包まれるベルリン。オットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)夫婦へ息子の戦死の知らせが届く。オットーとアンナはその後、「総統は私の息子を殺した」など、ナチス政権を批判するメッセージを込めたはがきを街中にこっそり置いていく。

 捕まれば死刑。緊迫の日々が始まる。手がかりがないゲシュタポは焦りながらも次第に犯人像を絞り込んでいく。

 夫婦が街に託したはがきは285枚。一人息子の命の尊厳を守るため、2つの命をかける様子が胸を打つ。(学芸部・松田興平)

 ◇パレットで上映中