また、不祥事か-。「消えた年金」記録問題を思い出した方も多いであろう、日本年金機構の「年金情報125万件流出」問題

▼「標的型メール」で、基礎年金番号や氏名、生年月日、住所といった個人情報が大量に流出した。今のところ、成り済ましや名簿化は確認されていないが、先々への心配や怒りは消えない

▼特定の企業などを狙い、添付ファイルを送りつけてウイルス感染させる標的型メール攻撃は昨年、1723件。前年比3・5倍と急増している。確かにメールのタイトルが「厚生年金基金制度の見直しについて」などとあれば、開きたくなるのも無理はない。後手に回っている対策は急務だ

▼しかし、感染後の対応はいかがなものか。発覚して注意喚起されたのに、別の職員も添付ファイルを開けてしまった。流出したうちの約55万件はパスワードが設定されてなかった。発表前に、職員がネット掲示板へ感染を書き込んだ疑いも出ている

▼こうした認識の甘さは日本年金機構だけかという懸念が、不安を増幅させる。10月からは社会保障や納税など幅広い個人情報を一元管理し、国民一人一人に番号を割り振るマイナンバー制度が始まる

▼一括管理された個人情報ほど利用価値の高いものはない。制度導入は予定通りと関係閣僚は口をそろえるが、不安は募るばかりだ。(与那嶺一枝)