衆院政治倫理・公選法改正特別委員会は2日、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法改正案を全会一致で可決した。4日の本会議で衆院を通過し、今月中にも成立する見通しだ。

 成立すれば、1945年に「25歳以上」から現行の「20歳以上」に変更されて以来、70年ぶりの引き下げとなる。来年夏の参院選から適用されるとみられ、これまで選挙権がなかった18~19歳の約240万人が、新たに有権者となる。

 少子高齢化が進み、膨らみ続ける社会保障のコストを負担するのは若い人たちだ。有権者に占める若い世代の比率も高齢者に比べて小さい。その若者たちが、有権者として政治の選択に加わる意義は大きい。各政党が若者を意識した政策を打ち出し、政策論議が活性化することを期待したい。

 ただ、現状は選挙の低投票率が目だつ。特に若年層では顕著だ。2014年の衆院選では、20歳代の投票率は32・58%で平均の52・66%を大きく下回った。

 選挙権年齢の引き下げは、政治を大きく変える第一歩になるかもしれない。民主主義の健全な発展は、投票行動を通して政治に参加することで促進される。

 18歳選挙権が実現すれば高校在学時に投票するケースもあるだろう。生きた政治を学び、民主主義の基本である選挙に積極的に参加する意識をもたせる主権者教育を充実させる必要がある。

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 気になるのは、選挙権年齢の引き下げが、憲法改正を視野に入れた「環境整備の一環」(自民党幹部)という思惑があることだ。

 今回の選挙権年齢の引き下げは、憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法が昨年6月に施行されたのを受けたものだ。

 改正法には国民投票のできる投票年齢を施行から4年後に「18歳以上」に引き下げることを明記し、選挙権についても18歳以上に引き下げる法律を「速やかに」整備するとした。この際に、与野党は引き下げ時期を前倒しして、2年以内に選挙権年齢と国民投票年齢を18歳以上とすることに合意していた。

 安倍晋三首相はことし2月、自民党の船田元・憲法改正推進本部長と会談した際に初めて憲法改正時期に言及し、来夏の参院選後が「常識だろう」と語った。

 選挙権年齢の引き下げをきっかけに憲法改正の流れが加速する可能性がある。18歳選挙権を改憲の是非を問う国民投票への布石にされないよう監視が必要だ。

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 選挙権年齢を18歳に引き下げる公選法改正案は付則で、民法や少年法が定める成人年齢の引き下げの検討も求めている。自民党は特命委員会を設置したが、これらの見直しには慎重論も根強い。

 これまでの制度をあらためることは、社会の基盤が大きく変化していく可能性がある。予想されるメリットとデメリットを洗い出して、メリットにつなげていく努力が求められている。