「老人と海」や「映画日本国憲法」のジャン・ユンカーマン監督の最新作映画「沖縄 うりずんの雨」の記者会見が2日、那覇市の桜坂劇場であった。作品は沖縄の差別と抑圧の歴史を描く。ユンカーマン監督は「沖縄の人々が向き合ってきた現実やトラウマに、県外・海外の人も向き合ってほしい」と話した。

「決して諦めない沖縄の心も描いた」と話すジャン・ユンカーマン監督=2日、那覇市・桜坂劇場

 映画ではアメリカが沖縄をどう見てきたかをペリー来航(1853年)から沖縄戦と収容所生活、由美子ちゃん事件、コザ騒動、沖縄国際大学ヘリ墜落など象徴的な出来事でひもといていく。

 そこに大田昌秀さんや米軍兵士ら沖縄戦体験者、歌人の玉城洋子さんや知花昌一さんら個人の話を重ね、沖縄の人たちが持つ深い失望と怒りの根っこを浮かび上がらせる。ユンカーマン監督は「たまたま基地があるのではなく、計画的に基地が置かれた」と訴える。

 映画では、1995年の米兵暴行事件の加害米兵が犯行の一部を語る場面が出てくる。「この事件が被害者にも沖縄にも癒えない傷であること、観客がショックを受けることも予想できた」としつつも、この事件が起きるまで沖縄の基地問題を知る米国人はほとんどいなかったと指摘する。

 監督は「問題の根は深い。構造的な問題もあり、それを伝えるためにも加害者の声が必要だった」。

 海外向けのタイトルは「アフターバーン」。炎が消えた後のやけどが深くなっていく意味で「基地が無くならない限り、沖縄が受けたやけどは解決しない」と強調する。辺野古の新基地建設の背景に何があるのか。「それを伝えるのがこの映画の役割。10年後に見ても価値のある映画」と胸を張った。

 「沖縄 うりずんの雨」は桜坂劇場や岩波ホール(東京)で20日から上映される。