会合を終えて「勇気がわいた」と安慶名達也さん(47)は、少しほっとした表情を見せた。先月末に開かれた認知症行方不明者の家族の会の呼び掛け人だ。関係者によると、同様の家族の集まりは全国でも聞いたことがないという

▼安慶名さんの母親で認知症の静枝さんは4年前に行方が分からなくなった。安慶名さんは「母ちゃんに会いたい」と捜し続けているが、まだ見つかっていない

▼捜索のためのシステムづくり、家族に必要なケアを考えることなどを目的にした家族会には、6家族と福祉関係者らが集まった。60代の男性は、3年前に行方不明になった父親を捜すため、大量のチラシを作り各地に配ったことなどを語った

▼関係者からは、不明者捜索のための情報が携帯電話のメールで一斉に広く広報される取り組みなどが紹介された

▼参加者が思いや課題を語り合うことで、これまでよく分からなかった互いの姿が見えてきた。連携を深めることが、力になるのだろう

▼10年後には65歳以上の5人に1人は認知症と言われている。誰もが当事者やその家族になるかもしれない。行方不明者を出さない、いなくなってもすぐに見つけられる、認知症になっても安心して暮らせる仕組みづくりの必要性が増している。それは、どこかの誰かのためではなく、あすの自分のためでもある。(安里真己)