〈若夏の辺野古の海のしらすなに蔓(つる)のばし咲く軍配昼顔〉(大城和子)。「戦後七十年 沖縄の歌」との特集を組む短歌の雑誌「歌壇」6月号に収められている

▼浜辺に咲く花の名にある「軍」に目が留まる。砂浜に広がる多年草と、海に迫る米軍基地建設を対比し、揺れる辺野古を詠んでいる。グンバイヒルガオは、塩水にも耐えるタフな植物である。暴力的な排除に屈せず続く抗議、その粘り強さも、歌中に読み取れなくもない

▼強い日射や風雨に耐え声を上げる人たちと、強硬な国策にほんろうされる沖縄に寄り添った琉球朝日放送のドキュメンタリー「裂かれる海」が、ギャラクシー賞の大賞に選ばれた。沖縄から日本のあり様を問う作品である

▼放送界で最もたたえられる賞で、大手作品を含む332本の中から選ばれた。「沖縄へのエールと受け止める」。受賞者は、収束が見通せない辺野古を思い、喜びを抑えた

▼「地元の本当の痛みを分かりながら作っている」。主催する放送批評懇談会の音好宏理事長は、賛否で引き裂かれた沖縄の痛みや、沖縄でみせる国の「別の顔」を、地元目線に徹し映し出したと評価した

▼テレビジャーナリズムの閉塞(へいそく)がいわれる昨今である。受賞は地元視点の取材の蔓を張りめぐらせている、地方メディア全体へのエールともいえよう。(宮城栄作)