米軍普天間飛行場の早期返還と名護市辺野古の新基地建設反対を訴えるため訪米していた翁長雄志知事ら一行は、要請行動を終え5日、帰任した。知事の訪米をどう評価するか。

 実際以上に成果を強調し県民に過剰な期待を抱かせるのは困るが、議論がすれ違いに終わったことをもって「成果がなかった」と過小評価するのも一面的だ。

 日米両政府は4月下旬、首脳会談や日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で「辺野古が唯一の解決策」というお決まりのフレーズを再確認したばかり。米側の厳しい対応は出発前から予想できたことである。

 外務省や防衛省が裏からいろいろ手を打つのではないかとの話もささやかれた。

 翁長氏が基地の過重負担を強調し、「県民はもう我慢できない」と、選挙で示された辺野古ノーの民意に理解を求めたのに対し、米側は事前に示し合わせたかのように「辺野古が唯一の解決策」だと口をそろえ、議論はかみあわなかった。

 だが、それでも、成果はあった、と言うべきである。

 厳しい反応が返ってくるであろうことを承知で、この時期にワシントンに乗り込み、「沖縄は決して同意していない」という強いメッセージを発信したことが重要なのだ。

 知事本人が国務省、国防総省幹部や上下両院議員、シンクタンク関係者らと会談し、新基地建設の理不尽さと計画阻止への強い決意を伝えたことは、それだけでも十分に意味がある。

    ■    ■

 翁長氏は、安倍晋三首相、菅義偉官房長官、中谷元・防衛相と個別に会談し、思いの丈を伝えた。県民大会を圧倒的な熱気で成功させ、その勢いで日本記者クラブや外国特派員協会で講演し、締めくくりとして訪米要請行動を繰り広げた。

 一連のアピール行動を終え、これから、どうするのか。それが、急を要する最も重要な課題だ。

 6月23日の慰霊の日は、「平和宣言」を通して知事の考えを内外に発信する場になるだろう。安倍首相との2度目の会談が実現するのかどうか、実現したとき何を主張するのか。県の第三者委員会は前知事による埋め立て承認の是非を7月に判断する予定で、それを受けた知事の対応も当面の大きな焦点になる。

 翁長氏が承認を取り消した場合、これを無効にするため、政府が法的手段に訴えるのは確実である。それをも見越した共感が得られるような効果的な対抗措置が必要だ。

    ■    ■

 菅官房長官は4日の会見で「翁長氏は辺野古移設が唯一の解決策だということを認識して帰ってくるのではないか」と、知事の行動をやゆした。相変わらずの「上から目線」である。

 沖縄戦以来、安全保障の負担を一身に背負い、さまざまな犠牲を被ってきたことに対する痛みの感覚があるのだろうか。安倍政権は今や、沖縄に寄り添う姿勢、語る言葉を失い、権力を発動して工事を強行するだけの存在になってしまった。