「風天」は、人気映画シリーズ「男はつらいよ」の寅さんで知られる俳優渥美清さんの俳号だ。雑誌アエラの編集者らの句会などに参加し、俳句を作っていた

▼220句を収録した『風天 渥美清のうた』(森英介著、文春文庫)の中で、最も好きな句は「好きだからつよくぶつけた雪合戦」。好意を持ちながらいじわるする微妙な心理と甘酸っぱいような恋心を感じさせる

▼雪が降らない沖縄で子どもたちが投げ合うのはアワユキセンダングサだ。開ききっていない種の束を摘み取り、友達の衣服にくっつけ、喜んだ。沖縄ではサシグサと呼ばれる

▼どこにでもはびこる繁殖力で「雑草の王様」とばかり思っていたが、ガールスカウト県連盟が南城市で学習会を開き、サシグサ入りのジーマーミ豆腐作りに挑戦したという記事(本紙4日付22面)にびっくりした

▼「校庭や道路に生えている草が食べられると知って驚いた」という田代桜さん(8)の感想にうなずき、どんな味なんだろうと思いを巡らせている

▼講師の與儀喜美江さんは南城市内のカフェでサシグサ入りのケーキなど加工品をメニューで提供している。宮古島市では薬効に着目した商品開発が進んでいる。「世の中に雑草という草はない」といわれる。沖縄の野や道端にはまだまだ可能性の芽が広がっている。(与那原良彦)