日本年金機構から流出した個人情報約125万件のうち、6割に当たる74万件が沖縄事務センター保有の情報だったことが分かった。

 情報流出に関連し年金機構が受給者や加入者に電話をかけたり、お金を要求することは絶対ないが、問題に便乗し現金をだまし取ろうとする不審電話が県内に集中しないか心配だ。

 サイバー攻撃を受けて流出したのは、沖縄、和歌山の両事務センターと、東京の「記録突合センター」の3施設の情報だった。九州ブロック本部と機構本部の共有フォルダーに保存されていた情報が、ウイルス感染した職員用パソコンを通して流出したとみられる。パスワード設定を怠るなど機構側の管理の甘さも被害を広げた。

 厚生労働省の2010年公的年金加入状況等調査によると、県内の20歳から59歳までの公的年金加入者は約74万人、65歳以上の公的年金受給者は約24万人。

 県内6カ所の年金事務所には2日から5日までの間に208件の相談があり、うち42件の流出が確認されている。沖縄の年金情報の大量流出が分かったのは、その後のことで、動揺している県民も多い。

 年金機構が設置した専用電話には問い合わせが殺到し、かかりにくい状態が続いている。流出した件数からすれば、沖縄だけの専用電話が必要ではないか。そもそも74万件がどういう情報で、どういう経緯で漏れたのか、沖縄事務センターには県民への説明が求められる。

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 外部に漏れたのは、公的年金の加入者・受給者の基礎年金番号と名前、生年月日、住所だ。名前と住所から電話番号を調べることが可能で、高齢者をターゲットにした振り込め詐欺などに悪用される恐れがある。

 昨年、ベネッセコーポレーションの顧客情報が流出した際、「漏れた情報を消す」などと持ち掛ける電話が増えたことを思いだす。今回も「情報削除」をかたり、金をだまし取ろうとする詐欺の横行が懸念される。

 流出した情報を使って受給者の住所を勝手に変更したり、本人に成り済まして口座番号を変えることも不可能ではないというから不安だ。

 老後の生活を支える大事な資金である。2次被害を出さないための基礎年金番号の変更を最優先の課題とし、仮に被害が出た場合、機構の責任となることも念を押しておきたい。      

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 いくら注意を呼び掛けても振り込め詐欺の被害が止まらないのは、口座に入金させる手法から宅配便や手渡しで受け取る方法へと、手口が巧妙化しているからだ。

 怪しい電話には応じないよう一人一人が注意を払い、情報が届きにくい1人暮らしのお年寄りには、高齢者と接することの多い地域の人たちが積極的に声を掛けるなど「見守り」を強めてほしい。

 機構の職員を名乗る不審な電話も、既に新しい手口に変わっているかもしれない。年金流出に限らず、見知らぬ人からの電話には用心。お金の話が出たらまずは疑おう。