4日の衆院憲法審査会は参考人の3人全員が、国会で審議中の安全保障関連法案を「憲法違反」とした。中でも自民・公明などが推薦した早稲田大の長谷部恭男教授がその一人だったことは両党に動揺を与えている

 ▼2007年第1次安倍政権下で発足した憲法審査会は、改憲発議を審議する初の機関だが、同年9月の安倍首相退陣により休眠状態に陥った

 ▼息を吹き返したのは12年の第2次安倍政権以降。つまり審査会は、改憲したい安倍首相がつくった改憲のための機関という側面を持つ。そんな場で政権肝いりの法案が違憲の指摘を受けたという顛末(てんまつ)だった

 ▼直後に菅官房長官が3氏の意見を否定するなど狼狽(ろうばい)ぶりを見せる自民党や、法案を支持するメディアは長谷部氏の起用ミスを唱える。だが同氏は昨年12月に成立した特定秘密保護法案の国会審議にも登場し、自民党の参考人として賛成意見を述べた

 ▼その同氏が安保関連法案について「(集団的自衛権の行使は)従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と断じた事実こそ、起用ミスという指摘では「説明つかない」

 ▼前日の3日には憲法学者171人が審査会の参考人らと同様、法案に待ったをかけた。賛同する学者がその後も増え続けている事態を見れば、法治国家の政府が取るべき態度は一つだろう。(黒島美奈子)