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  • 沖縄防衛局は大浦湾の新種生物確認調査をせずに埋め立て着工方針
  • (1)新種発見が難しい(2)調査自体が生態に悪影響-を理由に挙げる
  • 大浦湾一帯では新種発見が相次いでおり、研究者らは反発している

 米軍普天間飛行場の返還に伴う名護市辺野古沿岸部の新基地建設に向けた埋め立てで、沖縄防衛局が、工事区域周辺の大浦湾でしか発見されていない種を含む新種生物の確認調査をせず、着工する方針であることが分かった。5日に開いた非公開の環境監視等委員会の場で明らかにした。大浦湾一帯は近年、新種の発見が相次いでおり、研究者や環境保護団体は「取り返しのつかないことになる」と反発している。(篠原知恵)

シンノカンザシ(上野大輔さん提供)

スナギンチャクの一種「チャンプルー」(ジェイムズ・ライマーさん提供)

ニシヒラトゲコブシ(藤井琢磨さん提供)

シンノカンザシ(上野大輔さん提供) スナギンチャクの一種「チャンプルー」(ジェイムズ・ライマーさん提供) ニシヒラトゲコブシ(藤井琢磨さん提供)

 関係者によると、防衛局は(1)情報が限られるため新種の発見が難しい(2)調査自体が生態に悪影響を与える可能性がある-などとして、発見者へのヒアリングや論文での確認などにとどめる方針。

 現地での確認調査はせず新種の生息位置を推測し、埋め立て事業を進める中で可能性のある種が見つかれば、工事の影響を「最小限に抑えた上で適切に対応する」とした。

 一方、同じ国機関の沖縄総合事務局が事業者で、過去にヒメメナガオサガニなどの新種が発見された沖縄市泡瀬沖合の埋め立て事業では、周辺海域で新種の発見情報があればその都度、現地でその種に特化した環境監視調査を行っている。

 大浦湾は2007年以降、少なくとも論文発表された「新種」が12種、論文発表に至っていない「未記載種」が3種、日本で初めて生息が確認された「国内初記録」が6種、見つかった。新種のうち、大浦湾でしか生息が確認されていない生物は「オオウラコユビピンノ」など4種に上る。

 これら新種などは防衛局による環境影響評価(アセスメント)の調査以後に見つかり、アセスで考慮されていない。

 研究者約4千人が所属する日本生態学会など自然史研究に携わる19の学会は14年に、新種が相次いで発見されていることを踏まえ、防衛省などへ再調査を要望した。

 日本自然保護協会の安部真理子さん(海洋環境学)は「発見された新種の分布や生活史の調査は十分でなく、加えて発見にさえ至っていない種がいる可能性もある。埋め立てられれば、この全てを闇に葬ることになりかねない」と警鐘を鳴らした。