病気や交通事故などによる脳損傷で高次脳機能障害を負った人向けの運転免許教習体制を拡充しようと、県指定自動車学校協会と県作業療法士会が9月30日、豊見城市の県警察運転免許センターで合同講習会を開いた。(学芸部・座安あきの)

座席やハンドルを調整し、正しい運転姿勢を保持できるか、確認するべき指導のポイントについて解説する講師の黒澤明良さん(中央)=豊見城市・県警察運転免許センター

 身体障がい者の運転教習体制を整えるために医療従事者と自動車学校が連携する全国初の取り組み。自動車メーカーのホンダが「福祉関連安全運転教育プログラム」提供で協力した。同社では沖縄をモデルに他地域でも連携を呼び掛ける。

 作業療法士36人のほか、名護(名護市)、北丘(うるま市)、普天間(北中城村)、津嘉山(南風原町)の4自動車学校の指導員8人と運転免許センター職員10人が受講した

 講師を務めたホンダの交通教育センターレインボー熊本の黒澤明良さんは「教習所と医療機関、家族・本人の3者が一体となって運転再開の目標と障がいの特性を事前に共有することが大切」と強調。リハビリと教習指導を組み合わせたカリキュラムづくりのポイントを実例を交えながら解説した。教習車も使いながら、受講者は障がい者の視点に立った教習方法を実践的に学んだ。

 県作業療法士会会長の比嘉靖さんは「障がいを負った患者さんにとって運転再開は社会復帰の大きな自信になる。就労の要件になっていることも多いのに、教習を受ける環境が不十分なことは県民全体の課題」と指摘。講習では患者の症状を正確に伝える医療機関側の役割の大切さを認識できたとして、「教習所と連携を密にしたい」と話した。

 ホンダは全国7カ所で交通教育センターを運営し、障がい者向けの教習指導も手掛けている。センターのない全国の地方各地では、地域の自動車学校がその普及拠点になると判断。全国に先駆けて同社のプログラムを導入していた津嘉山自動車学校をモデルに、県指定自動車学校協会と協力して本島北部と中部地域にも拠点校を増やす予定という。

 ホンダ開発普及課課長の山中弘正さんは「医療と教習の各分野のプロが連携する講習会は全国初。沖縄の熱心な取り組みを他地域に紹介し、全国に広げたい」と話した。

 比嘉さんは「以前は県が障がい者の免許取得や運転再開を車両貸し出しなどで支援したが、現在はない。連携の動きを行政も共有し、県内の教習体制の充実を後押ししてもらいたい」と期待を込めた。