十数年前、少年による集団暴行致死事件を取材したときに驚いたのは加害者同士の関係の希薄さだった。お互いの本名や住む場所も知らなかった

 ▼行き場がなく集う少年らの結びつきはちょっとした誤解で壊れ、死の暴力につながっていた。次の矛先が自分に向かう恐怖から周囲も止められなかった

 ▼愛知県刈谷市で高校1年の男子生徒が集団暴行された後、川で泳がされ死亡する事件が起き、14~16歳の少年3人が逮捕された。3人は「交友関係でトラブルがあった」と話しているという

 ▼川崎市では2月、中学1年の男子生徒が未明の川で泳がされた後、首を切られて殺害され、社会に衝撃を与えた。遊び仲間の少年3人が逮捕されている

 ▼キレる子どもたちは受け入れられるために暴力でしかメッセージを伝えることができない傾向があるとされる。加害者の生い立ちは過酷な家庭環境に置かれ、暴力や養育放棄などの虐待を受けていたケースが少なくないという

 ▼集団暴行ではないが、沖縄市でNPO法人代表の女性が殺害された事件で10日、住所不定無職の少年(19)が検察官送致された。起訴されれば、裁判員裁判になる。事件の全容解明もさることながら、少年が発してきたSOSを周囲や社会がどう受け止め、なぜ事件を防ぐことができなかったかを検証する必要がある。(与那原良彦)