県議会与党5会派が、特定外来生物の県内侵入を防ぐため、公有水面を埋め立てる際に県外から土砂などの搬入を規制する条例案を県議会に提出した。16日から始まる6月定例会で審議する。可決されれば、11月1日から施行される。

 条例案では埋め立て事業者に対し、搬入の90日前までに埋め立て採取地や外来生物の混入確認、防除策などの届け出を義務付ける。

 外来生物侵入の恐れがある場合、県が立ち入り調査を実施し、混入があれば防除策の実施や資材の搬入、使用を中止するよう勧告できる知事権限を盛り込んでいる。強制力はなく罰則規定は設けていないが、従わない場合は、その旨を公表することで、条例の実効性を担保する考えだ。

 沖縄県は独特の生態系を持つにもかかわらず、外来生物の侵入を防ぐ水際対策で後れを取っているといわれる。

 環境省は3月に外来種対策を推進するため、2020年までの国の行動目標を定めた「外来種被害防止行動計画」を策定。地方自治体に対し、地域の生物多様性保全の観点から外来種対策の実施などを求めている。

 公有水面埋立事業に特定している与党の条例案は、辺野古新基地建設をけん制し、あらゆる手段で新基地を阻止するという翁長雄志知事の権限を強化する側面がある。一方、県外土砂の搬入に伴う外来生物の侵入を阻止する一定の効力を発揮することは間違いない。条例案を沖縄の生物多様性の保全に生かすことが重要だ。

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 国の埋立申請書によると、辺野古沿岸部の埋め立て面積は約160ヘクタール。埋め立てに使う土砂の総量は東京ドーム約17個分に相当する約2100万立方メートルとされる。県外7地区から膨大な土砂を購入する計画だ。

 これほどの量の土砂を採取するのであれば、本来環境影響評価(アセス)が必要になるが、民間業者から購入して調達したものは環境アセスの対象にならない。

 そもそも仲井真弘多前知事の辺野古埋め立て承認前、県環境生活部(当時)は「不明な点があり(環境保全への)懸念が払拭(ふっしょく)できない」とする意見を出した。だが前知事は「現段階で取り得る環境保全策は講じられている」と判断した。

 しかし、沖縄防衛局は具体的な外来種混入対策は示しておらず、採石業者が環境に配慮していることを確認した上で埋め立て土砂を使う方針を示してきた。業者任せの混入対策にどれほどの実効性があるのか、条例による厳格なチェックが不可欠だ。

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 土砂採取予定地となっている西日本各地の市民団体が先月、土砂搬出に反対する連絡協議会を結成した。採取地では辺野古工事を見込んだ採石場からの土砂流出で環境被害も起きているという。

 「これまで見たことも聞いたこともない膨大な量」(奄美の砕石業者)という土砂の搬出先、外来生物侵入のリスクを負う搬入先。国はいずれの環境保全にも重大な責務を負っている。