安保法制が注目される中、政府がもう一つの目玉とする労働者派遣法の改定案が成立の見通しだ。働き方の根幹に関わる法案だが、どのくらいの人が知っているだろうか

▼業種や期間を限り認めていた派遣労働の枠が、ほぼ取り払われる。1人の派遣期限は3年だが、企業は人を代えれば継続できる。業種は問わない。となれば今後多くの会社で正社員を雇う必要が無くなるかもしれない

▼規制緩和で派遣の対象業種は広がり、その結果2008年に発生した派遣切り問題は記憶に新しい。政府が言う「多様な働き方」とは企業が労働者を安易に首切りできる仕組みだと知らしめた

▼その政府は今国会で労働に関する別の法案も提案している。「国家戦略特別区域及び構造改革特別区域法」の改定案と「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法案」

▼名称から想像しにくいが外国人の働き方に関わる。前者は外国人の家事労働を特区で解禁し、後者は現在すでに実質的な労働の場である外国人研修の枠を広げる

▼家事労働が日本では低く見られている現実と、研修に限り外国人枠を広げる裏に、より安く労働者を得ようとする態度が見える。正社員との賃金格差を縮めないままの派遣拡大もそれと同質。私たちが求める多様な働き方とほど遠いのは言うまでもない。(黒島美奈子)