先日、東京国立博物館で開催された国宝「鳥獣戯画」展を見た。カエルとウサギが相撲を取り、サルを追い回す。日本最古の漫画、とも言われる、教科書でもおなじみの絵巻物だ

▼甲乙丙丁と4巻ある中で最も有名なのは、擬人化した動物たちを描いた甲巻。平安時代のものとは思えぬ鮮明な墨絵はおおらかで、昔の人々のユーモアに脱帽しつつ楽しんだ

▼多くの心を捉える漫画は、新聞にも毎日載っている。その代表格、朝日新聞に掲載された「サザエさん」展が那覇市内のデパートであった。週末の夕飯時を楽しませる看板テレビアニメは今年45周年を迎え、長寿としてギネス登録された

▼小さいころ父が買いそろえた全68巻の漫画本を繰り返し読んだ筆者には、アニメより4こまの方が馴染み深い。「佐藤・ニクソン会談」「オイルショック」「ボーナス」などは、単行本サザエさんを読んで覚えた言葉だ

▼新聞漫画ならではの、時勢を切り取る風刺やユーモアを、当時は半分も理解できなかった。だが社会の世相や季節の風物詩など、知らぬ間に勉強にもなった

▼千年以上前の絵巻や、海にちなんだ愛きょうのある名前を持つ一家の物語は、今も多くの人を楽しませている。かしこまらず、時に鋭く、その時を生きる人々の暮らしや社会を伝える漫画の魅力をあらためて感じた。(儀間多美子)