タクシーの運転手さんら年配の男性から、愉快とはいえない一般の女性ドライバーへの評価を度々、聞いてきた

▼「最近は高齢者の気になる運転が目に留まりませんか」と水を向けても、明確な答えが返ってきたためしはない。年を重ねれば運動能力が低下するのは科学が証明するところ。あなたもわたしも徐々にそうなるはずだが、現実に受け入れるとなると難しい

▼75歳以上の運転免許制度を見直す改正道交法が先日、成立した。判断力や記憶力の低下が原因の事故を減らすのが目的だ。検査で認知症の恐れがあると判定されたら医師の診断書提出が必要で、発症していたら免許の停止か取り消しとなる

▼「認知症と危険な運転の因果関係は明らかではない」(日本精神神経学会)という意見もあるが、交通事故は命に関わる問題。認知症の高齢者の運転に一定の歯止めをかけるのはやむを得ないだろう

▼一方で、車社会の沖縄で運転できないのは即、生活へ影響する。知人の80代の父親は認知症ではなかったが、孫に会うための遠出を本人が納得してやめるのに2年、近くのスーパー通いを断念するのに、もう1年かかった

▼10年後には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれる。互いの命と高齢者の自尊心、生活の質が守れるよう、2年以内にやってくる法施行に臨みたい。(与那嶺一枝)