国立科学博物館(東京都)は10日、同館研究員を含む6カ国11人の国際共同研究グループが、沖縄県うるま市具志川の更新世中期(90万~50万年前)の地層から、南半球だけに生息するコセミクジラの化石を北半球で初めて発見したと発表した。同館では「これまで知られていなかった海生ほ乳類の大規模な交流が起こっていた」と説明している。

沖縄県うるま市で見つかったコセミクジラの耳の骨の化石(右側)と現生のコセミクジラの耳骨(甲能直樹氏提供)

 コセミクジラは体長約5メートルの小型のヒゲクジラ。沿岸域にあまり姿を現さないため生態はほとんど分かっていない。化石は、米国地質調査所が沖縄占領下の1940年代後半、うるま市具志川の米軍キャンプコートニー敷地内で採取。現在は米国のスミソニアン研究所に保管されている。

 研究グループの1人が同研究所でヒゲクジラ化石の標本の調査中、うるま市の採取化石の一つが、コセミクジラの特徴を持つことに気づき、2014年から共同研究を進めた。うるま市の化石と共に、同様のイタリア産化石も確認され、研究成果が米国の生物学雑誌「カレントバイオロジー」に論文公表された。

 論文の共著者で国立科学博物館の甲能直樹氏は、コセミクジラの生息域は比較的で寒い海域だとして「コセミクジラが北半球にまで分布を広げていた事実は、いずれ北半球からペンギンの化石が発見されるかもしれないことを暗示しており、興味深い」と成果を話している。