「時代への危機感」が色濃く表れた調査結果である。

 「慰霊の日」を前に、沖縄タイムス社、朝日新聞社、琉球朝日放送(QAB)が実施した県民意識調査で、70年前の沖縄戦の記憶について「風化している」と答えた人が68%に上り、今の世代に「引き継がれている」と答えた人の20%を大きく上回った。

 一方で、沖縄戦体験や、知識を次の世代に語り継ぎたいと答えた人が86%に達した。風化にあらがおうとする意思や使命感が感じられる。

 戦場を生き抜いた世代は年を追うごとに減っている。2014年住民基本台帳によると、県人口に占める70歳以上の割合は13・6%。戦争体験を明瞭に語ることができる80歳以上となると5・6%と極端に少なくなる。

 昨年12月に亡くなった元ひめゆり学徒の宮城喜久子さん(享年86)は、米兵による小銃乱射と手りゅう弾による自決で目の前で級友たちを失う壮絶な体験をした一人だ。宮城さんが沖縄戦について語り続けたのは、級友に代わって語らなければという使命感からだった。

 語り部は減っても、活動を続ける体験者は何人もいる。元気なうちにと封印していた記憶を解き、遺言のように話し始めた人も少なくない。

 調査で気になったのは、20、30代の約2割が体験者の話を聞いたことがないと答えていたことだ。

 課題はむしろ聞く側にある。戦争を知る最後の世代がしぼり出す言葉に耳を傾け、語ることができなかった死者たちの思いを想像し続けたい。

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 県民意識調査では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設への「反対」が66%を占め、高い水準を維持した。辺野古移設反対を訴えた翁長雄志知事の訪米行動も県民の73%が評価している。

 他方、辺野古移設を強行する安倍内閣への支持は22%と低かった。

 知事の訪米については「成果がなかった」とする冷ややかな見方もあるが、日米安保の一方の当事者である米国に沖縄の民意を伝えたことを県民は評価しているのだ。

 共同通信社の直近の全国世論調査で5割だった安倍内閣の支持率が、沖縄で低いのは、民意を顧みない政権の振る舞いに加え、国会で審議中の安全保障関連法案への懸念が関係していると思われる。

 激しい地上戦を経験し、戦争をリアルに受け止めることができる土地だからこそ、日本が再び誤った道を進むのではないかとの危機感を募らせている。

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 県民は本土との格差の最たるものとして「基地問題」を挙げる。生活に直結する所得格差より基地問題の格差を選択したのは、在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中する状態を差別に近いと感じているからだろう。

 基地の過重負担への明確な「ノー」、その解決を県政の最重要課題とする翁長知事への厚い支持は訪米要請後も続いている。強固な支持基盤を背景に、これからどのような対抗措置を打ち出していくかが重要になる。