翁長雄志知事は、就任後初めてキャロライン・ケネディ駐日米大使と都内の米国大使館で会談し、名護市辺野古の新基地建設に反対する考えを伝え、理解を求めた。

 翁長氏は、昨年の名護市長選や知事選、衆院選で辺野古反対を掲げた候補者が全勝したことを挙げ「沖縄の民意は辺野古に基地を造らせないことだ」と訴えた。辺野古沿岸部の臨時制限水域への県の立ち入り調査の実現も求めた。

 会談は非公開で約40分間開かれた。翁長氏によると、これに対しケネディ氏から具体的な返答はなかったという。

 一方、米国大使館は、会談直後にケネディ氏が「(辺野古移設が)唯一の解決策だと表明した」と発表した。

 翁長知事は訪米前からケネディ氏との会談を申し入れてきた。なぜこの時期だったのか、なぜ両者の話は食い違っているのか。県民が知りたいのは、ケネディ氏本人が新基地建設に対して、どういう考えを持っているかである。

 環境保護や人権を重視するリベラル派とされるケネディ氏が、生物多様性豊かな辺野古沿岸部を埋め立てることをどう思っているのだろうか。民主主義の基本である選挙で示された民意が顧みられることなく、新基地建設が強行されていることについても答えてもらいたい。

 翁長氏も含めて、それが知りたいのである。ケネディ氏の発言について、県と米国大使館で食い違っていることをあいまいにせず、真偽をはっきりさせるべきだ。

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 翁長氏によると、安全保障の負担は国民全体で負うべきだとの考えを翁長氏が伝えたことに対し、ケネディ氏は「沖縄の日米安保への貢献はありがたい。在日米軍のプレゼンスは重要なので日米が力を合わせて進めたい」と述べたという。

 ところが大使館が発表した声明では「ケネディ大使は、日米両政府がキャンプ・シュワブへの飛行場建設で揺るぎない決意を共有している点を強調した。普天間飛行場の継続利用を避けるためには唯一の解決策であると表明した」とも明記されている。

 翁長氏は大使館の声明について「『シュワブ』や『辺野古が唯一』との言葉は聞いていない」と説明した。翁長氏はケネディ氏の発言に「メモを見ているような感じ。ワシントンと全く同じ言葉が出てきた」と不快感も示した。裏を返せば、米政府が翁長氏の世論喚起に警戒感を抱いているということだろう。

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 ケネディ氏は翁長氏との会談で、23日の「慰霊の日」の沖縄全戦没者追悼式に出席する意向を伝えたという。県は、追悼式で知事が読み上げる「平和宣言」に、政府が進める辺野古移設作業を中止するよう求める文言を盛り込む方向で調整している。

 ケネディ氏は昨年2月の初来県の際、予定になかった稲嶺進名護市長との個別会談を行った。市長から直接、辺野古移設について意見を聞いた。今回の来県では、再度翁長氏と会談してもらいたい。その上で、辺野古新基地建設に関する自らの考えを、県民に向けて語ってもらいたい。