2017年(平成29年) 11月25日

沖縄タイムス+プラス ニュース

米軍の協力なく捜査手詰まり 安富祖「流弾」事件から半年

9秒でまるわかり!

  • 安富祖ダム工事現場で起きた「流弾」事件は日米地位協定が壁に
  • いまだ米軍から説明もなく銃弾提供にも応じないため捜査は難航
  • 住民に怒りと諦めが入り交じる中、恩納村は原因究明を訴え続ける

 沖縄県恩納村の米軍キャンプ・ハンセン内の安富祖ダム工事現場で作業員の車や水タンクが傷付き、米軍の銃弾らしき物が見つかった事件の発覚から13日で半年がたった。米軍から事件についての説明や情報提供はいまだなく、県警の捜査関係者は日米地位協定による捜査の“壁”を指摘する。あれから半年。安富祖の住民には怒りと諦めが入り交じる中、村は原因究明と再発防止を訴え続けている。(社会部・新垣卓也、山城響)

米軍キャンプ・ハンセン内の安富祖ダムの工事現場で4月に発覚した流弾事件。半年経過してが、米軍から説明や情報提供はない=13日午後、恩納村・安富祖ダム工事現場入り口

 安富祖に住む80代男性は、被害の実態把握が遅々として進まない状況に「誰が考えても米軍の流弾だ」と憤る。「集落近くに飛んできた原因が重要で、それを特定しない限り、また起きる」と県警の捜査が必要だと訴える。

 別の男性は、11日に東村高江の民間地で発生した米軍ヘリの炎上事故を引き合いに「安富祖は米軍提供区域内。捜査は最初から無理だと思っていた。けがもなかったわけだし」と諦めムードだ。

 県警は被害の発覚直後、車両と水タンクの傷など被害状況を調査した。しかし、傷が流弾によるものと断定するには、銃弾の形状の確認など鑑定が不可欠とする。県警は、米軍が回収した銃弾の提供について協力を求めたが実現せず、捜査は手詰まりになっている。

 日米地位協定や刑特法により、提供区域内での射撃訓練が被弾の原因だった場合、第一次裁判権は米側にあり、米軍の財産に対する捜索や差し押さえなども米軍の同意が必要とされる。

 捜査幹部は、米側が銃弾提供に消極的な背景を「(流弾事件が)訓練中に発生し、銃弾が軍の機密に関わる『財産』と判断している可能性が高い」と解説。過失による流れ弾だった場合は「故意が構成要件となる器物損壊での立件は厳しい」と漏らす。

 村も発覚直後から、沖縄防衛局を通じて、米側に事件に関する情報提供を呼び掛けたが、回答は得られていないという。

 長浜善巳村長は「いまだに何の返答もなく、中ぶらりんの状態だ」と頭を抱える。「米側は弾がどこから来た物なのか説明し、再発防止策をしっかり示す必要がある」と強調し、「継続的に回答を求めていく」と話した。

これってホント!? 誤解だらけの沖縄基地
沖縄タイムス社編集局編
高文研
売り上げランキング: 24,236

あわせて読みたい

関連リンク

サクッとニュースのバックナンバー

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム
24時間 1週間
24時間 1週間

注目トピックス