感染力が非常に強く合併症などで死亡することもあるはしか(麻疹)や、妊娠初期(20週ごろ)にかかると出生児に心疾患や難聴、白内障などの先天性風疹症候群(CRS)を引き起こすことのある風疹の予防接種率が沖縄は国内でも低く、医療関係者が危機感を抱いている。(学芸部・座安あきの)

麻疹ワクチン接種率の推移

人にうつさないためにも、「感染症予防のワクチン接種を」と呼びかける県のはしか“0”プロジェクト委員長の具志一男医師=豊見城市・ぐしこどもクリニック

麻疹ワクチン接種率の推移 人にうつさないためにも、「感染症予防のワクチン接種を」と呼びかける県のはしか“0”プロジェクト委員長の具志一男医師=豊見城市・ぐしこどもクリニック

 はしかは高熱や発疹が続き、重症化すると肺炎や脳炎などの合併症で障がいが残ったり、死に至ったりする感染症。県内で1998年から2001年に流行し、生後9カ月~3歳の9人が亡くなった。08年~09年の間にも計45人の患者報告があった。妊婦が感染すると流産や早産になる危険性がある。

 風疹の患者数は12年~14年までに106人に上る。1964~65年の大流行では、出生児のCRSの報告例が408件あった。

 1歳児の第1期と小学校就学前1年間の第2期に予防ワクチンの定期接種が推奨されているが、厚生労働省が9月22日に発表した2016年度の接種状況によると、県内の麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の未接種者数は第1期811人、第2期1762人。

 厚労省は都道府県や市町村別の接種状況を公表し、流行を防ぐことができるとされる95%以上の接種率を目標に、各自治体に対策を促している。県内の16年度の接種率は第1期が95・2%で全国42位、第2期が89・8%で最下位だった。

 ぐしこどもクリニック(豊見城市)院長で県の「はしか“0”プロジェクト」委員長を務める小児科医の具志一男さんは「ワクチンの副反応を心配する声があるが、自然感染の方がはるかに症状が重い」とした上で、「未接種は感染のリスクと同時に、感染源となって周囲の人の健康を脅かすおそれがあることを理解してほしい」と接種を呼びかけた。

 接種率は全国的に第1期よりも、第2期の方が低くなる傾向にある。具志さんは「乳児期は親の予防接種への関心も高いが、年齢を重ねるにつれ意識が薄れがち。入園、入学前に園や学校側が一人一人の未接種の確認を徹底し、ワクチン接種を促す対策が必要」と指摘する。

 MRワクチン以外にも、一定期間無料で接種できる感染症予防ワクチンには、小児用肺炎球菌やインフルエンザ菌b型(ヒブ)、ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオの4種混合、日本脳炎などがある。

 医薬品メーカーのファイザーが4月に実施した「子どもの肺炎球菌ワクチン接種」に関する意識調査では、1歳以降に接種する「追加接種」を2歳までにしたと回答した人が沖縄は69・1%(77人中53人)で全国最下位だった。県地域保健課の担当者は「全体的に全国平均より低い接種率を改善することが課題」と話す。

 ワクチンは種類や回数が多く、接種の順番やタイミングに戸惑う保護者も少なくない。具志さんは「医療機関側でも、優先順位の高いワクチンが未接種になっていないか、組み合わせは適切かなどを判断し、接種のスケジュールづくりに協力してほしい」と語った。