「沖縄戦デジタルアーカイブ~戦世からぬ伝言」を共同制作したGIS沖縄研究室主宰の渡邊康志さんに、完成までの経緯や沖縄戦への思いを聞いた。

「戦没者の声なき声を聞き思いをくむことが研究の根源」と話すGIS沖縄研究室主宰の渡邊康志さん

 -GIS(地理情報システム)で沖縄戦を表現したきっかけは

 2001年に具志頭村(当時)の村史編集担当から、沖縄戦の資料を展示したいが何かできないかと相談を受け、GISを使って目に見える形にできないかやってみた。分析しているうちに、いろんなことが見えてきた。

 亡くなった場所として地図上につける赤い点には、住所や性別など属性の情報があり、どこで亡くなったかなど特徴があった。漠然としたイメージとは異なるものが見えてきた。これまでの資料は固まりでしかなかった。点の一つ一つに物語性が見えて驚いた。

 -作業はどのようなものか

 戦没者のリストから、戦死した場所に着目する。ただし聞き取り情報なので、同じ場所でも旧名や方言など「揺れ」が生じる。今のどこにあたるかを照合させていく。避難先など居住地より遠い場所になると、地点の証言もアバウトになるが、この場合はアバウトなりに落とし込んでいる。

 -今までと違うアプローチになるが

 証言は大事だが、どうしても一方的な話になる。亡くなった人の声なき声を聞き、思いをくむ。これがやる気の根源。

 -見て感じてほしいことは

 親や祖父母の世代が経験したことを、時空を超えて実感してほしい。このようなバーチャルのツールを活用して、伝えていく必要がある。(聞き手 デジタル部・渡口政史)

 <わたなべ・やすし> 1957年宮城県出身。88年から沖縄在住、GIS沖縄研究室主宰。県内大学や高知大で非常勤講師。