猛暑が続き、お湿り程度の雨にもほっとする。長い夏の始まりを告げる夏至を迎えた22日、朝の雨音に心が洗われた。温暖化が進んでいるとはいえ、この時期の暑さは今もかつても同じだろう

 ▼沖縄が戦場となった70年前も、逃げ惑い、泣き叫ぶ人々の肌を強烈な日差しが刺し、熱気に蒸れた空気が、ガマで息を潜める者の鼻孔をふさいだ。空調の効いた部屋で想像するにはあまりに遠い

 ▼沖縄戦を今に伝えるものの一つに、戦跡に立つ歌碑があると講演で聞いた。ひめゆりの塔の「いはまくら/かたくもあらむ/やすらかに/ねむれとぞいのる/まなびのともは」はその代表

 ▼凄惨(せいさん)な状況が浮かぶのは南風原陸軍病院壕。「両の足/失ひし兵/病院を/探して泥道/這(は)ひずり来たる」。迫る死を何とか追い払い、命をつなごうとする姿が見える

 ▼愛する者、失った仲間を思う言葉は、切なく悲しい。「石塔に/きざまれし名を/まさぐりて/泣き入る親の/一人なる我も」は沖縄師範建児之塔、「水汲(く)みに/行きし看護婦/死ににけり/患者の水筒/四つ持ちしまま」は沖縄陸軍病院之塔に残る

 ▼きょうは70年目の慰霊の日。読谷村民が散らばる骨を集めた梯梧之塔には「さきほこる/はなびらちりし/でいごじゅに/くれないそめて/なつはきにけり」の句。鎮魂の夏を胸に刻む。(儀間多美子)