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  • 翁長知事が戦没者追悼式で普天間返還と新基地反対を強く要求した
  • 県幹部は「県民の願いや望みを政策に入れるのが県のスタンス」
  • 政府関係者「政治信条を訴える所ではない。式典の政治利用だ」

 翁長雄志知事は就任後初めての全戦没者追悼式で、米軍普天間飛行場の早期返還と名護市辺野古の新基地建設反対を打ち出した。知事が平和宣言を読み終えると、拍手や指笛が響く会場で、安倍晋三首相、中谷元防衛相、岸田文雄外相は手をたたくことなく、表情を崩さなかった。沖縄戦から続く基地負担の軽減を訴える知事と、新たな米軍基地の建設を強行する政府。戦後70年の鎮魂の場でも、沖縄の置かれた実情が浮かび上がった。(政経部・福元大輔、銘苅一哲、東京支社・大野亨恭)

参列者の拍手を受け、平和宣言のため壇上に向かう翁長雄志知事=23日午後0時20分ごろ、糸満市摩文仁・平和祈念公園

 「僕の思いはもっと強い」-。平和宣言に込めた思いを記者から問われると、翁長知事はきっぱりと、そう答えた。

 追悼式では、辺野古移設を迫る政府の考えについて「到底県民には許容できるものではない」と主張。固定観念に縛られず、作業中止を決断するよう政府に要求した。

 これまで閣僚との会談などで「移設を阻止する」「地元の理解がないまま造ることはできない、造らせない」と厳しい表現を使うこともあったが、「慰霊の日」ということで慎重に調整を重ね、言葉遣いに配慮した。

 翁長知事は2月の県議会一般質問で、平和宣言に辺野古新基地建設に反対する意思を盛り込み、「平和を希求する県民の思いを県内外に発信したい」と答弁。県の担当者が4月から素案を練り、知事や副知事を交え、意見を出し合った。

 昨年の主要選挙で辺野古反対の候補者が相次いで当選したことから、県幹部は「県民の願いや望みを政策に入れるのが県のスタンス。辺野古を避けることは考えられない」と強調。

 普天間飛行場は、米軍が沖縄戦で奪った土地に建設しており、「沖縄戦と直結した問題だ」という認識がある。

 平和宣言53行のうち、5割近い24行が負担軽減を求める内容となった。

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 県議会与野党の評価は賛否真っ二つに分かれた。

 与党県議の1人は辺野古反対を明言した内容に「今までの平和宣言とは異なり、かなり具体的に新基地建設反対を表明した。翁長知事ならではだ」と評価した。

 一方で、野党の自民幹部は追悼式が終わると「政治色が強すぎる。ここは県民大会の場ではない」と不快感をあらわにした。安倍首相にやじが飛ぶ異例の事態も「翁長知事の平和宣言が基地に特化しすぎたため、来場者をあおってしまった」と顔をしかめた。

 この日の沖縄は県が条例で定めた休日。官邸では菅義偉官房長官が通常の定例会見をこなした。

 菅長官は同日午後の会見で、翁長知事が平和宣言で重きを置いて辺野古反対を訴えたことの是非を問われ、「県民が判断することだ」と評価を避けた。

 政府関係者の一人は「追悼式は戦争で亡くなったみ霊を慰める場で、政治信条を訴える所ではない。式典の政治利用だ」と批判した。