戦後70年の「慰霊の日」は大きな節目とあってテレビのほか、全国の新聞でも広く報道された。25日付で本紙が転載した全国紙やブロック紙、地方紙を含め、共同通信加盟の一般紙50社余のうち20社以上が、慰霊の日前後の社説やコラムで取り上げている。

 翁長雄志知事は追悼式典で、沖縄戦の体験に連ねて辺野古の新基地建設中止を求めるなど基地の過重負担に比重を置いて発信した。この意味付けを踏まえ論説の多くが「平和の継承」と「沖縄の現状」を関連付けて論述したのが特徴だ。

 下野新聞のコラム雷鳴抄の筆者は慰霊の日を前に沖縄を訪れ、「国内最大の地上戦」があった沖縄で、復帰後も基地の固定化が続き、米兵の犯罪がいまだ起きる現状を憂い「平和な70年の影に沖縄の忍従がある」と心を痛めた。

 24万人余が刻銘された平和の礎の重さを踏まえ、式典で沖縄の基地負担軽減に言及した安倍晋三首相に対し「上面の言葉」(愛媛新聞)と批判し、「沖縄は戦争を引きずる軍事基地を求めていない…負担軽減は基地の撤去で、基地の移設という押し付けは島の恒久平和から程遠い」(福井新聞・社説)と論じた。

 熊本日日新聞は、辺野古問題の解決の糸口として「抑止力のひと言で思考停止に陥るのは避けたい」とし、抑止力が真に機能しているのか、日本全体として安全保障や米軍駐留を多面的に考えることも提起した。神戸新聞も同様に「沖縄を再び孤立させてはならない」と本土側の受け止め方を重視する。

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 各紙社説の反応をみると、翁長知事が4月の菅義偉官房長官との会談を皮切りに執拗(しつよう)に訴えてきた、辺野古を許容できない「沖縄の道理」が共感を得つつある印象を受ける。

 安倍首相との会談、日本記者クラブや外国特派員協会との会見、そして訪米と対外的な発信、意見交換では必ずしも芳しい反応は少なく、知事も「中央メディアでは一切無視されている」と不信感も抱いていた。

 今回の社説の中には「犠牲者に哀悼を捧(ささ)げ、平和への誓いを新たにする場を利用し、自らの政治的主張を前面に出した違和感」(読売新聞)と知事の平和宣言を疑問視する見方もあった。

 しかし、多くは米軍基地が過度に集中する原点に沖縄戦があり、その後の土地収奪があるという沖縄の道理に理解ある論調だ。神奈川新聞は社説、コラムに加え「ひめゆり学徒の記憶」を連載した。

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 山陽新聞は慰霊の日の23日から3日間、社説で「地上戦の実相を知らねば」「抑止力に精緻な議論を」「問題意識を共有したい」と沖縄問題を重ねて論じた。3日目は「地方自治の危機ととらえ、本土の皆さんに考えて」という知事の投げ掛けから始まる。まさに、沖縄の基地問題を自身に引きつけたジャーナリズムの見識を感じさせる。

 県民多数が求める辺野古中止は今後も一筋縄ではいかないだろうが、ひるまず、緩まず、理解を求めて発信し続けることが肝要だ。