取材で知り合った英紙特派員のアシスタントから、沖縄取材の感想を聞いた。今も続く遺骨収集、新基地建設への抗議のうねり、指笛と怒号が響いた「慰霊の日」を取材し、三つの記事を掲載できたという

▼沖縄戦で妹を亡くした男性が70年を経て遺骨と対面した複雑な感情、基地問題が沖縄戦に起因する苦悩であることなど、住民の体験に添って丁寧に伝えていた

▼新聞を取り巻く厳しい環境は国を問わず、費用がかさむ沖縄取材を、英国本社に説得することに骨が折れたとか。出張が認められてもボツになることも多く、立て続けの3本で沖縄を伝えられたことは成果だったという

▼同時期、沖縄で起こっている現象を、水面下に連なる歴史から深めて伝える映画が公開された。米国人監督、ジャン・ユンカーマンさんの作品「沖縄 うりずんの雨」である

▼ペリー来航からあった米国の沖縄への野心、沖縄戦を経て戦後も米国の戦略のために酷使されてきた特異な歴史を、多くの証言をつないで描く。監督いわく米軍は沖縄を「戦利品」として扱ってきた。「戦利品としての運命から解放する責任をどう負っていくかが問われている」と、日米の市民に投げかけた

▼沖縄を重層的に伝える機会は増えていると感じる。揺れ戻しもあるだろうが、軸が変わらないことを願っている。(宮城栄作)