あなたのお子さんは、肘を曲げて自分の肩を触ることができますか? 和式便座に座ることができますか?

 現在の子どもたちは、運動が足りないグループと、運動し過ぎのグループに二極化していると言われています。

 子どもたちを取り巻く社会環境の変化(安全性への不安、テレビやゲーム、習い事など)は、遊びの中での運動の機会を減らし、一方で野球、サッカーなどのチームに入っている子どもたちは、毎日のように練習しています。

 野球やサッカーで肩や肘、膝を痛めたといった問題は、非常に身近な割に、新聞や雑誌、テレビでも注目されているとは言えません。

 私の甥(おい)っ子も、野球で肩を痛め、大事な時期に数カ月間、練習に参加できなくなってしまったことがあります。

 幸い、治療で肩の痛みは治りましたが、中にはコーチや親の期待に応えようと痛みを我慢しながらもプレーする子も多いはずです。治療が遅れてしまうと修復が不可能なこともあり、注意が必要です。

 身体を自由に動かすには、骨・関節・筋肉や神経が連携して働く必要があり、これらのことを運動器と呼び、これらをチェックすることを運動器検診と呼んでいます。具体的には歩行の異常、しゃがみ込み動作、肩の拳上、肘の曲げ伸ばし、上肢の変形、下肢の変形、脊柱変形、等をチェックし、必要があれば専門の医療機関を受診することを勧めます。

 これまでの学校健診では、お医者さんの前で体を前屈(ぜんくつ)する、側弯(そくわん)症の健診が行われてきましたが、手足の関節を見てもらうことはありませんでした。

 全国に先駆けて運動器検診を取り入れている宮崎県や島根県データでは、運動器に問題のある子どもは全体の10%を超え、耳や目の疾患(約5%)、ぜんそくやアトピー性皮膚炎(約4%)などと比較して多いことが分かっています。

 文部科学省はスポーツによる障害を早期発見するため、来年度から学校健診の検査項目を変更し、運動器に関する検診を導入する予定です。子どもたちの身体を一番近くで見ることができるのは、まぎれもなく家庭にいる保護者であり、検診に先立って保健調査票の記載を行うには、家庭で子どもたちを観察することが重要です。

 未来ある子どもたちの身体を守るのは私たち大人の義務です。忙しい生活の中で、時には子どもたちの身体の動きを注意して、見てみてはいかがでしょうか。(神谷武志 琉大医学部付属病院)