2017年(平成29年) 11月25日

沖縄タイムス+プラス ニュース

阿部岳記者の「視点」:米軍の犠牲、黙認か抗議か

 なぜ炎上したのか分からない米軍ヘリの残骸が横たわっている。焦げたローター、壊れた尾翼がある。

 その上空を、同じローターや尾翼を備えたヘリが飛んでいる。この機体がいつ炎上するのかもまた、分からない。すぐ隣に、人の暮らしがある。

 18日、東村高江の光景である。

 事故原因が不明な機体は、どこであっても飛ぶこと自体が許されない。米兵の命も懸かっている。その上で疑問がある。飛行再開の初日に、あえて事故現場上空を、しかも繰り返し飛ぶ必要があったのか。

 米軍は日本全体を侮辱している。政府も国民も、本土も沖縄も関係ない。態度でそう示している。

 地元代表の県や、次期首相候補の一人である自民党の岸田文雄政調会長が呼び出しても応じない。ただ文書で「CH53Eは信頼できる航空機だ」とコメントして、飛行を再開した。

 米軍の傍若無人は強く非難されるべきだが、結果として浮かび上がった焦点がある。では、日本政府と日本人はどうするのか。

 これまで通り「守ってもらっているんだから多少のことは仕方ない」と、沖縄の代償に目をつぶるか。だが、いずれ本土の番が来る。沖縄に強行配備されたオスプレイが今や全国を飛び回り、トラブルをまき散らしているのを見れば分かる。

 それとも、沖縄と歩調を合わせて徹底的に抗議するか。日本駐留は米国にとっても利益である。失う可能性を理解して初めて、米軍も態度を改めるだろう。

 現場から約300メートルの自宅で事故を目撃し、今も暮らす西銘美恵子さん(63)は問い掛ける。「犠牲の上に成り立つ安全保障とは何でしょうか。小さくても大きくても、同じ犠牲ではないですか」

(北部報道部・阿部岳)

 
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