2017年(平成29年) 11月20日

 沖縄県東村高江で起きた米軍ヘリの炎上事故からわずか1週間。事故原因の究明を求める地元の声を無視して飛行を再開した事故同型ヘリは18日、事故などなかったかのように高江上空を飛行・旋回を繰り返した。区民は飛び交うヘリを見つめながら、「やっぱりな」と悔しさをにじませた。

炎上したヘリと同型のCH53Eが飛行訓練を再開し、事故現場付近上空に何度も飛来した=18日午後1時7分、東村高江(喜屋武綾菜撮影)

 「CHが来た!」。18日午前11時20分、炎上・大破したヘリの解体作業にカメラを向けていた報道陣が、一斉に南から来るヘリ1機に焦点を合わせた。南の海岸線に沿って飛来した事故同型のCH53E大型輸送ヘリは、事故現場手前で悠々と西に旋回。N4地区ヘリパッド方面へと機首を向けた。その後十数分間、やんばるの森の上を飛んだ後、普天間飛行場へと戻った。

 この日は高江ヘリパッド周辺で、事故後初めてとみられるオスプレイ飛行も確認。午後になってもヘリやオスプレイが事故現場周辺を何度も旋回し、けたたましい重低音を響かせた。残骸ヘリの上をかすめるように飛ぶ様子も見られた。

 午前中、庭で作業をしていた時にヘリの飛行を確認した男性(49)=は「慣れてしまってはいけないけれど、やっぱりなと思った」と複雑な胸中を明かした。

 事故後、高江小学校の子どもたちから「ヘリは学校には落ちないよね」と聞かれたが、事故原因が分からないので安心させられるような言葉を掛けられなかったという。「地元がどんなに抗議の声を上げても変わらない。米軍には何も伝わっていない」と落胆の表情を浮かべた。

 「どうせいつものこと」。自宅から300メートル先の所有地で炎上事故が起きた西銘晃さん(64)は吐き捨てるように話した。事故原因も公表しない中での飛行再開。「反省もなく、同じ事が繰り返される。高江も沖縄も同じように無視されている」と、上空を飛ぶオスプレイをいまいましそうに見つめた。

 仲嶺久美子高江区長もため息。「区民の傷は癒えていないのに…。納得いかない。米軍は何を考えているのか」。繰り返される米軍機事故、数日後の飛行再開。もう何年も見慣れてしまった光景に声を落とした。

宜野湾市民、不安再び

 【宜野湾】普天間飛行場のある宜野湾市では、18日午前10時40分すぎから事故同型のCH53Eヘリが訓練を再開し、何度も上空を飛び交った。市民からは「また落ちないか不安だ」「やめてほしい」などと不安や怒りの声が上がった。

 午後2時すぎ。衆院選挙の期日前投票などのため、多くの市民が市役所を訪れる中、上空ではCH53Eが「バリバリバリ」と爆音をまき散らしながら飛んだ。

 飛行場周辺では音に気付き、空を見上げてヘリを確認する市民らの姿も。飛行再開を新聞で知った、市伊佐に住む女性(83)は「高江の住民の思いを無視して飛ぶのは許せない」と顔をしかめた。「宜野湾市民だけでなく、誰でも米軍に『ノー』と思っているさ」と語気を強めた。

 期日前投票に訪れた女性(63)=市志真志=は「日本政府の問題だ。県民がいくら飛ぶなと抗議しても、結局それを許しているのは政府」と批判。今回の選挙がいい機会だと話し、「政府は米軍にしっかり(飛行を)やめろと言うべきだ」と強調した。

 別の女性(76)=市普天間=も「また落ちないかと不安。事故を起こしても原因究明もないまま、すぐに飛ぶことが続いている。すぐにやめてほしい」と訴えた。第2次普天間爆音訴訟の島田善次団長は「ふざけているとしか言いようがない。県民の命も守れず、米軍に対して物も言えない日本政府が一番悪い」と批判した。

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