自民党の勉強会で講師を務めた作家の百田尚樹氏や出席議員の発言への批判が収まらない。沖縄県内の市民団体や教育団体は27日、緊急に抗議決議や声明を発表。沖縄戦体験者は「あの時代に戻るのではないか」と憤りと不安を口にした。沖縄タイムスへも県内外の読者から電話やツイッターで多くの声が寄せられ、“言論弾圧”に反発が強まっている。

 「何の権利があって、沖縄の2紙が要らないと言うのか」。沖縄戦を体験した那覇市の88歳の女性は怒りをこらえきれず、沖縄タイムスに電話した。50年以上新聞を読み、何よりの楽しみにしてきた。百田氏の沖縄に関する発言を読み「事実を知らないのに、自分だけが物事をよく知っているという傲慢(ごうまん)さを感じた」と憤った。

 元白梅学徒隊の中山きくさん(86)は「勝つ見込みのない無謀な戦争に日本が突き進んだのは、政治圧力に屈した報道機関がうその情報を流し続けたからだ」と指摘。「戦争を知らない世代の議員たちが『報道に圧力をかけたらいい』と平然と語る。あの暗い時代に再び戻ってしまうのではないか」と不安を募らせた。

 沖縄タイムスのツイッターには、百田氏が米軍普天間飛行場の成り立ちを誤認した発言に対し「訂正して謝罪してほしい」「総理も大臣も知らないのでは」、2紙に対する発言については「冗談と言うが、本音だろう」との書き込みなどがあった。

 沖教組(山本隆司委員長)の第51回定期大会では急きょ、百田氏の発言に関する抗議決議案を提案し、採択した。安倍晋三首相宛てに「発言は、沖縄の歴史的事実をねじ曲げ、米軍基地被害に苦しむ県民を侮辱している」と指摘。県内2紙への発言も「民主主義への挑戦としか捉えられない」と批判した。

 住基ネットに反対する「監視社会ならん!市民ネット沖縄」(上江洲由美子代表世話人)も、抗議声明を安倍首相と百田氏らに郵送。太平洋戦争中に報道統制が敷かれたことで多くの悲劇を招いたことを挙げ、百田氏の発言を「許してはならない」と断じた。

 新基地建設への抗議行動が続く名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前でも、批判が相次いだ。

 うるま市具志川九条の会の仲宗根勇共同代表(74)は「首相一派がいかに無教養か、日本のわびしい現実が表れた」と評した。