安倍晋三首相に近い自民党若手議員でつくる勉強会「文化芸術懇話会」で、沖縄2紙を含む報道機関を威圧するような発言が噴出した問題に関し、同党は勉強会代表の木原稔党青年局長(熊本1区)を更迭し、1年間の役職停止処分とすることを決めた。

 また「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」と発言した大西英男氏(東京16区)、「番組ワースト10とかを発表して、それに(広告を)出している企業を列挙すればいい」と述べた井上貴博氏(福岡1区)、「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった」と発言した長尾敬氏(比例近畿ブロック)の3人を厳重注意とした。

 勉強会での発言で浮き彫りになったのは、安倍首相の応援団を自認する自民党若手議員の中に、報道機関に圧力をかける言論統制的な発想を平気で口にする体質があることだ。加えて、苛烈な沖縄戦やそれに続く米軍統治下の沖縄の苦難の歴史について、理解が決定的に欠けていることである。

 安倍首相は、勉強会での発言について「事実であれば大変遺憾だ」と述べたが、問題の根は深い。勉強会には首相側近とされる加藤勝信官房副長官、萩生田光一党総裁特別補佐も出席していた。辺野古への新基地建設をめぐって政府と県の対立が深まっているときだけに、政権への不信感を一層募らせることになりかねない。

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 沖縄では23日、沖縄全戦没者追悼式が行われた。翁長雄志知事は、県民が望む恒久平和の実現と普天間飛行場の辺野古移設中止を訴えた。

 追悼式のあいさつで大島理森衆院議長は故・山中貞則初代沖縄開発庁長官の「沖縄のこころをより深く理解し、常に思いをいたしたい」との言葉を引用し、県民に寄り添う姿勢を示した。大島氏は山中氏から「沖縄の人の心になり、沖縄の人の目で東京を見なさい。決して東京から沖縄を見てはいけない」と教えられたエピソードも披露した。

 かつて自民党には橋本龍太郎元首相や梶山静六元官房長官、小渕恵三元首相、野中広務元官房長官など、沖縄戦を体験した県民に寄り添うことを信条として沖縄政策を展開した政治家がいた。

 それを知らない若い世代の議員が安保政策や沖縄政策を進めている。勉強会の発言はそういう時代の転換期に現れたものであるが、危うさを感じる。

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 作家の百田尚樹氏が「普天間飛行場は田んぼの中にあり、商売のために周囲に人が住みだした」などと発言したことについて、与党自民党の県関係国会議員の反応が鈍い。

 「歴史的事実を無視し、県民を愚弄(ぐろう)するもの」と抗議文を手渡した宮崎政久氏と「独自の勉強会を続ける」とした国場幸之助氏のほかはコメントを控えている。特に県連会長を務める島尻安伊子氏が会合不参加を理由に「コメントできない」としているのは納得できない。県連会長として一連の発言をどうとらえているのか、明らかにすべきだ。