作家の百田尚樹氏と自民党国会議員に対する批判がやまない。無理解に基づく沖縄への暴言と、報道機関に向けた圧力の提案を平然と口にする姿に識者は何を見るのか。神戸女学院大名誉教授の内田樹さんに聞いた。内田さんは、現代日本の病理性を指摘した。内田さんの談話は次の通り。

神戸女学院大名誉教授の内田樹氏

 百田氏の「沖縄の2紙はつぶさないといけない」という言葉を県民は聞き流してはならない。沖縄タイムスと琉球新報は「日本が米国の属国である」という現実をまっすぐに見つめているわが国でも例外的な「正気」のメディアだ。

 飛行機の轟(ごう)音と基地のフェンスに身体的に威圧されて戦後70年間を過ごしてきた沖縄県民は、日本領土からの米軍基地の全面返還の日まで「主権の回復」と「国土の回復」は果たされないことを骨身に沁(し)みて感じているはずだ。「米国の従属国である」という痛苦な現実に向き合う沖縄の2紙を「つぶせ」と主張した百田氏は「日本が米国の属国だという現実を見るな、目をそらせ」と言っているに等しい。

 繰り返し言うが、日本は属国である。外交も国防もエネルギーも食料も、医療、教育に至るまで、重要政策は「米国の意向」を忖度(そんたく)して決定される。その現実から目をそらし、あたかも主権国家のようにふるまう点に現代日本の病は存する。懇話会で暴言を吐き散らした講師や議員はその「病」の重篤な患者たちだ。