名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局がキャンプ・シュワブ内の建物の解体工事に着手してから1日で1年を迎えた。

 この1年の動きの中で明らかになったのは、県や地元名護市の意向を無視して国が強引に工事を進めれば進めるほど反対のうねりが県内・国内外に広がり、のっぴきならない事態に追い込まれるという逆説が生じつつあることだ。

 沖縄防衛局は昨年8月、辺野古の海底ボーリング調査を開始。選挙や台風などの影響で一時中断したものの、県の再三の中断要請を無視し、3月には調査を再開した。海上では海上保安庁職員による手荒な警備が目立つ。

 この間、安倍晋三首相、菅義偉官房長官、中谷元・防衛相が翁長雄志知事と個別に会談はしたものの、中身はなく、政府と県の亀裂の深さを浮き彫りにしただけである。

 一方、翁長知事や稲嶺進名護市長を支える動きは国内外に広がっている。

 「沖縄建白書を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」が昨年8月から辺野古現地までの送迎バスを運行、6月30日までに延べ約1万1千人が利用した。「辺野古基金」は、24日時点で3億5千万円を超えた。予想を超えるペースだ。

 国内外の知識人も、基地建設反対を訴える署名や共同声明を相次いで発表し、反対運動への連帯を明らかにしている。

 県や名護市はあらゆる権限を行使して新基地建設を阻止する構えであり、辺野古移設は政治的には不可能な状況になりつつある。

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 「敵意に囲まれた基地は機能しない」という言葉がある。2003年に来県したラムズフェルド米国防長官(当時)も「歓迎されないところに基地は置かない」と語った。

 他国の領土内に軍事基地を確保し、部隊を前進配備する米軍の前方展開戦略は、受け入れ地域の同意を前提にしている。選挙で示された民意を無視し、地元の同意なしに米軍基地を建設することは絶対にあってはならないし、それを強行しようとすれば泥沼にはまり込み、事態は深刻化するだけだ。

 政治的に不可能な状況を公権力を発動して強行突破するのは、政治の不在、政治の機能不全を政府自ら認めるようなものだ。沖縄にとっても、日米両政府にとっても、最悪の選択である。政府と沖縄県の関係を決定的に悪化させるだけでなく、日米関係にもかつてない悪影響を与えずにはおかないだろう。

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 県は、防衛局が辺野古沿岸の海底に設置したコンクリートブロックが、許可区域外でサンゴ礁を破壊した可能性が高いとして独自調査のための立ち入りを米軍に申請しているが、いまだに実現していない。

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブ内の海岸では、文化財の「碇(いかり)石」が見つかっている。文化財保護法に基づく調査が必要だ。

 これらの調査は自治体が行うべき業務であり、米軍は積極的に調査に協力すべきである。それが県との関係改善に向けた第一歩である。