運転免許証更新の際に受けた簡易テストで、感情を出しやすい運転傾向を指摘されたことがある。「心穏やかに運転を心掛けてください」。他人の運転マナーの悪さにいら立つたびに、そのアドバイスを思い出す

▼車間距離を縮めたり、急な割り込みなどマナー違反を超えた危険な行為も目につく。怖い思いをした人も少なくないだろう。そんな「あおり運転」があらためて問題化している

▼6月に神奈川県の東名高速道路で夫婦が死亡した追突事故。容疑者の車の接近や進路妨害などの「あおり運転」が招いた理不尽な事故に胸が痛むが、そんな危険に巻き込まれる可能性は日常に潜む

▼警察庁のまとめによると、ことし上半期に高速道路で、道交法違反の「車間距離不保持」で摘発された件数は3千件余。重大事故につながりかねない行為が横行している

▼あおり行為など危険運転の車の追跡を受けた場合、警察庁は、落ち着いて近くの安全な場所への避難と警察への通報を呼び掛ける。ただ、執拗(しつよう)な追跡など不安をあおられる状況下で、自己防衛や判断には限界もあるだろう

▼スマホ操作や飲酒運転なども含め、無謀・身勝手な運転が悲惨な事故につながるのは明らか。「あおり運転」の取り締まり強化も当然ながら、マナー教育や啓発のあり方にも知恵を絞る必要がある。(赤嶺由紀子)