名護市辺野古の新基地建設をけん制する狙いがあるのは事実だとしても、「そのためだけの条例」にしてはならない。沖縄固有の生態系を守るという条例の目的をしっかり受け止め、これを契機に、生物多様性保全の機運を盛り上げたい。 

 県議会の特別委員会(仲宗根悟委員長)は、埋め立てによる特定外来種の侵入を防ぐことを目的とした県外土砂規制条例案(議員提出)を賛成多数で可決した。10日の最終本会議で可決、成立する見通しで、11月1日から施行される予定である。当面、名護市辺野古の新基地建設と那覇空港の第2滑走路建設の2事業が対象になりそうだ。

 防衛省によると、辺野古沿岸部を埋め立てるには2100万立方メートルの土砂が必要である。東京ドーム17個分に相当するこれだけ大量の土砂を県内で調達するのは不可能だ。 このため、キャンプ・シュワブ陸上部や辺野古ダム周辺から約400万立方メートルを採取し、残る約1700万立方メートルは、奄美大島や徳之島、九州など県外から確保する計画。

 大量の埋め立て用材を県外から搬入する際、アルゼンチンアリなどの外来種が用材に付着して持ち込まれ、島の生態系に悪影響を与えるおそれがある。仲井真弘多知事の時代に県環境生活部がまとめた埋め立て承認申請に対する意見の中でも、外来種混入の防止対策が「具体的に示されていない」と疑問視していた。

 今回の条例案は、県環境生活部や環境保護団体、住民などから上がっていた懸念に応える意味もある。

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 条例案は、特定外来生物が付着・混入した埋め立て用材(海砂、石材、山土)の県内への搬入を禁じ、搬入する場合、予定日の90日前までに採取地や外来生物の有無、混入防除策を県知事に届け出るよう義務づけている。

 県の立ち入り調査や、事業者に対する知事の搬入中止勧告なども盛り込んだ。

 ただ、土砂搬入を止める罰則規定はなく、立ち入り調査についても、誰がどのような方法で土砂をサンプリングし調査するのか、具体策が示されているわけではない。

 条例案が規制の対象にしている特定外来生物は、特定外来生物法で指定されたものが対象になっており、国内由来の外来生物は規制の対象になっていない、という制約もある。

 実際に条例を運用するためには、立ち入り調査の方法などさまざまな規定を整備する必要があり、実効性の確保に向けたハードルは高い。

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 沖縄特有の自然は、次世代に引き継ぐべき「しまんちゅぬ宝」である。「沖縄21世紀ビジョン」にも、目指すべき将来像の1番目に「沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする」ことが掲げられている。

 県は2013年3月、生物多様性基本法に基づいて「生物多様性おきなわ戦略」を策定した。豊かな自然環境を保全し、自然と共生するために成すべきことの一つとして外来種対策を位置づけ、特定外来種にとどまらない総合的な対策に取り組んでほしい。