嘉手納基地が外来機の拠点となるつつあることを懸念する。最新鋭のF35ステルス戦闘機2機が30日午後、嘉手納基地に飛来した。米太平洋軍が11月上旬から6カ月間、計12機を嘉手納基地に配備すると発表したうちの2機である。米ユタ州のヒル空軍基地の所属で、最終的には要員300人も派遣される。

 常駐機だけでも耐えがたい苦痛を与えているのは、周辺住民ら2万2千人超が第3次の爆音訴訟が起こしていることからもわかる。

 F35ステルス戦闘機は嘉手納基地の主力F15戦闘機と比べても騒音が激しいといわれ爆音禍は目に見えている。

 沖縄防衛局が嘉手納基地の全航空機を対象に初めて実施した調査によると、4月から4カ月間で、離着陸やタッチ・アンド・ゴー、旋回は常駐11機種と外来機を合わせ1万8799回。うち外来機が約35%を占めた。

 日米の騒音防止協定で飛行が制限されている午後10時から午前6時までの飛行は全体で647回。うち外来機が半数を超えた。外来機は5月に米本国からF16戦闘機12機が暫定配備され、在韓米軍からU2偵察機4機、6月には3日連続で岩国基地からF35ステルス戦闘機が飛来した。

 F16戦闘機が暫定配備された51日間、嘉手納町屋良で「電車通過時の線路脇」のうるささに相当する100デシベルを超える騒音が配備前の同じ期間と比べ4倍に増えた。外来機が及ぼす影響が裏付けられた。

 嘉手納基地ではここ数年、外来機の暫定配備が続く。事実上の常駐化ではないか。

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 F35ステルス戦闘機は、アジア太平洋地域における米戦略の要と位置付けられる。岩国基地への配備は米本土以外では初めてだ。

 所属は岩国基地でも、嘉手納基地や伊江島補助飛行場と連動している。沖縄の空に張り巡らされている訓練空域を使用するからだ。

 嘉手納基地では、日米特別行動委員会(SACO)合意に反してパラシュート降下訓練が実施されている。米軍は「例外使用」を盾に降下訓練をやめる考えはない。滑走路の反対側に移転した旧海軍駐機場も使われている。日米合同委員会の解釈に日米で齟齬(そご)があるのは解せない。

 日米合意を破った米軍に、嘉手納基地周辺の自治体でつくる三市町連絡協議会は県と足並みをそろえ抗議した。今回の暫定配備についてもかつてない怒りが続いている。

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 県外では普天間飛行場がクローズアップされるが、嘉手納基地と嘉手納弾薬庫地区の2施設だけで、県外にある主要な6基地(横田、厚木、三沢、横須賀、佐世保、岩国)の総面積を超える。

 F35ステルス戦闘機の暫定配備で同基地は周辺自治体に朝鮮半島情勢への対応と説明した。有事想定の訓練は危険にならざるを得ない。沖縄が標的になる懸念も消えない。

 日本政府は米軍の暫定配備を伝えるリリースに抗議するわけでもない。嘉手納基地で進んでいるのは基地機能の強化であり「負担軽減」に逆行する。政府は被害を受ける住民に目を向けているのか。