全国の4世帯に1世帯が18歳から64歳までの現役世代がいない高齢者世帯であることが、厚生労働省の2014年国民生活基礎調査で明らかになった。高齢者世帯のうち半数が1人暮らしである。

 調査は高齢者世帯が、18歳未満の子どもがいる世帯を初めて上回ったことも示し、先例のない超高齢社会の到来をあらためて浮き彫りにする。団塊の世代が大挙して高齢者となる中、介護の問題一つをとっても、極めて困難な道の入り口に立っていることを突き付ける数字だ。

 高齢者世帯の増加は、平均寿命が伸びて、子どもが独立した後も夫婦だけで生活する期間、配偶者の死後に1人で暮らす期間が長くなったためとみられる。できるだけ子どもに頼らず生活したいという高齢者自身の意識の変化も大きい。老後を誰とどのように過ごすか、高齢者の意思は大切である。

 一方で、調査からは高齢者世帯の平均所得が1世帯当たり301万円にとどまり、全世帯の529万円を大きく下回っていたことも分かった。昨年4月の消費税アップの影響もあるのだろう。年金が中心の高齢者世帯の6割が「生活が苦しい」と答えている。

 高齢者世帯の増加は、同居が難しい住宅事情や、老親を援助するゆとりのない子ども世代の経済的問題とも無関係ではない。

 社会として深刻に受け止めなければならないのは、地域から孤立するお年寄りや「孤独死」「老老介護」などの問題だ。

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 「東京圏介護破綻」「地方移住」-先月、民間の有識者らでつくる「日本創成会議」がまとめた提言が、波紋を呼んでいる。

 高度成長期に東京圏に流入した住民が高齢化し、今後10年で医療・介護の受け皿が大幅に不足するため、施設や人材に余裕のある地方へ移住を促す提言である。受け入れ場所として宮古島市など26道府県の41地域が挙げられた。

 提言に引っかかりを感じるのは、ベッド数などに重きが置かれ、住み慣れた地域で最後までという高齢者支援の理念が脇に追いやられているように見えるからだ。

 老後をどこで誰と暮らすかは個人の選択で強制できるものではない。しかし身寄りがなく経済的に苦しければ、意に反して移住を迫られる恐れがある。

 介護を受けたいのに受けられないという問題は、所得が低い高齢者の居場所問題と深くかかわっている。

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 沖縄県は高齢化率こそ18・4%(2013年)と全国一低いものの、離婚率や核家族率の高さ、持ち家率の低さなどから家庭の介護力の弱さが指摘されている。

 介護施設のない離島のお年寄りが、晩年を本島の施設で暮らさざるを得ないという現実もある。

 高齢化率が低い分、今後の伸びは東京など大都市圏並みに高く、「介護破綻」「介護移住」は人ごとではない。

 介護施設や人材の奪い合いが生じる前に、医療・介護・住まいの問題に対する危機感を共有する必要がある。