衆院選を受けて1日召集された特別国会で、安倍晋三首相が第98代首相に選ばれた。

 第4次安倍内閣発足後の記者会見で安倍首相は「生産性革命、人づくり革命を両輪に少子高齢化に立ち向かう」とあらためて表明、「改革、改革、改革あるのみ」だと強調した。

 8月に発足した第3次安倍第3次改造内閣の閣僚は全員、再任された。顔ぶれを見ると、いまさらながら、あの選挙は一体何だったのか、と思わずにはいられない。

 「結果本意の『仕事人内閣』」と言いながら、仕事らしい仕事もしないうちに、唐突に解散に踏み切り、選挙後に一人残らず再任したのだから。

 安倍首相は、目を覆いたくなるような野党の分裂騒動に助けられ、権力基盤を固めるのに成功した。新たな「1強体制」を、どのような政策の実現のため使うつもりなのだろうか。

 国民が安倍首相に求めているのは、うわべの謙虚さではない。

 特別国会の会期を12月9日までの39日間とし、首相による所信表明演説と各党代表質問を実施することを決めたのは、実質審議を求める野党の要求に応えたものだろう。

 気になるのは、与野党の質問時間について配分見直しの動きがあることだ。安倍首相(自民党総裁)が側近に見直しを指示したという。

 「議席数に応じた配分を行うべきだという主張は国民からすればもっともな意見だ」と菅義偉官房長官は強調する。ほんとにそうだろうか。

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 政府が提出する法案は、国会提出前に自民党の関係部会で検討され、総務会などの了承を経て閣議決定される。

 法案に対する問題点は国会提出前に与党内で議論されており、国会での与党の役割は、提出された法案をスムーズに成立させることである。

 もし質問時間の配分を、例えば「与党7割、野党3割」にした場合、どういう事態が起きるか。国会は、政府提出法案を速やかに成立させるための、議論のない「翼賛議会」となり、権力分立の原則が形骸化するのは避けられない。

 今、求められているのは、行政府をチェックすべき立法府の審議の充実である。質問時間の見直しはそれに逆行するおそれがあり、国会軽視につながりかねない。

 「安倍1強」のおごりやゆるみに対する国民の視線はいまなお、厳しい。安倍首相には、説明責任を丁寧に果たすよう求めたい。

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 民進党の分裂騒動と希望の党の失速は、安心して政権を託すことのできる野党が存在しない、という現実を浮き彫りにした。

 小選挙区制の下で政権交代が遠のいてしまったことをどう総括するか。日本社会の中長期的ビジョンをどう構想するか、実現可能な政策をどう練り上げていくか。選挙の基盤となる地元組織をどう育てていくか。

 失敗を重ね離合集散を繰り返す野党に国民はうんざりしている。健全な野党が存在しない民主主義は決して健全とはいえない。