海難事故の一因となっている岸から沖合に向かう強い流れ「離岸流」を、新聞、テレビ局の記者8人がこのほど、救難士と共に名護市の東江海岸で体験した。記者は流れに逆らって泳ぐが一向に岸に近づけず体力だけが奪われた。レジャーシーズン到来で離岸流による水難事故の増加も予想されるため、第11管区海上保安本部は「沖へと流されたら無理に泳がず、浮いた状態で助けを待ってほしい」と呼び掛けている。(城間陽介)

名護市東江海岸で発生する「離岸流」の流れを説明した図(第11管区海上保安本部提供)

離岸流を体験する記者たち

名護市東江海岸で発生する「離岸流」の流れを説明した図(第11管区海上保安本部提供) 離岸流を体験する記者たち

 東江海岸は幅560メートルほどの人工海岸で、沖合30~40メートルの海底には海岸保全のための人工リーフがある。今回体験したのは離岸流の一種「リーフカレント」。潮の満ち引きなどでリーフ内にたまった海水がリーフの切れ目(リーフギャップ)から外洋に向かって流れる現象をいう。

 午前11時ごろ、満潮から干潮に向かう時刻にリーフカレントが確認され、記者は11管の救難士と一緒にライフジャケットを着て沖合へと向かった。しばらく漂った後「こんなものか」と思い、クロールで岸へ引き返そうとした時。岸との距離が一向に縮まっていない。救難士に手を引かれ約5分後、離岸流から何とか脱出。岸に上がると思いのほか、ぐったりと疲れていた。

 離岸流の発生ポイントは、岸から見ると比較的予想しやすい。例えばリーフギャップやリーフ付近の白波が立っていない-などだ。だが遊泳中は、泳ぎやシュノーケリングなどに夢中になって、ポイントを見極めるのが難しくなる。

 救難士によると、体験した離岸流は時速3~4キロで人の歩く速さと同程度。人命救助のプロでさえ、息が上がり疲れた様子だった。「泳ぎに自信のある人でも体力はかなり消耗する。岸に近づけないことからパニックになり、溺れる要因になっている」と話した。

 11管によると、昨年県内では離岸流が原因とみられる水難事故が3件発生。離岸流に遭遇した場合(1)慌てず、浮いた状態で待つ(2)流れには逆らわず、岸と平行に泳ぎ離岸流から離れる-などを呼び掛けている。