安倍晋三首相が「国際女性会議WAW!」に出席し、女性起業家を支援する基金に5千万ドル(約57億円)拠出すると表明した。

 トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が主導し、世界銀行内に設けられた基金である。

 首相は「女性活躍の旗を高く掲げ、指導力を発揮していく」決意を語り、基金への支持を打ち出した。

 途上国の女性起業家を支援する基金に異論はない。ただ大統領来日を前にした日米友好ムードの演出と、「女性活躍」を繰り返す首相の言葉には強い違和感を覚えた。

 先月22日投開票の衆院選で当選した女性は47人。全議員の10・1%にとどまっている。

 1946年の衆院選で8・4%だった女性議員の割合は、70年が過ぎてもほとんど変わっていない。女性の政界進出が進む世界の流れから取り残され、時間が止まったようだ。

 ダボス会議で知られる「世界経済フォーラム」が今月発表した2017年版「男女格差報告」によると、日本は144カ国中114位で、前年より三つ順位を下げている。先進7カ国ではことしも最下位という残念な結果。女性議員や閣僚が少ないなど政治進出の遅れが最大の原因という。

 「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にする」という安倍政権の目標は、政治分野ではまったく見通しが立っていない。

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 諸外国に比べて際立って少ない女性議員を増やすため先の通常国会で、「政治分野の男女共同参画推進法案」を議員立法で成立させようとの動きがあった。選挙の候補者数をできるだけ男女均等にするよう政党に促す法案だ。  

 しかし「加計学園」問題などの影響を受けて、審議入りできないまま、衆院解散で廃案となってしまった。

 もともと自民党内では異論や反対が多かった法案である。妊娠を公表した国会議員が「辞職すべきだ」とバッシングされたり、公用車での保育園送迎が「公私混同」と非難される現状を思うと、本気で女性活躍の旗を振っているのか疑ってしまう。

 昨年4月に全面施行された女性活躍推進法は、企業に女性登用の数値目標などを盛り込んだ行動計画の作成を義務付けた。

 「自分のことは棚に上げて」である。

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 男女雇用機会均等法や育児休業法、DV防止法などの成立に女性議員が果たしてきた役割は大きい。

 有権者の半分を占める女性の声をもっと政治に反映させるためにも、日本の将来を決める国会議員の男女比のアンバランスを解消していく必要がある。

 衆院選の公約に自民党は政治分野の男女共同参画推進法の早期成立を掲げた。立憲民主党は議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」導入を訴えた。

 クオータ制にも踏み込み実効性のある制度議論を展開してもらいたい。