名護市辺野古で進む新基地建設の根拠となっている公有水面埋め立て承認手続きを検証していた第三者委員会が、「手続きには法的に瑕疵(かし)があった」とする報告書を、翁長雄志知事に提出した。

 国の埋め立て申請に不備があり、それを審査した県の対応も不十分と断じる内容だ。

 弁護士や大学教授ら6人の有識者が、政治的な要素は抜きに、法律的な側面から理を尽くして報告書をまとめた意味は大きい。誤りが裏付けられたことで新基地建設阻止に向けた県の取り組みは新たな段階に入る。

 委員会が、そもそもの問題として挙げたのは辺野古の「埋め立ては必要か」という点だ。

 防衛省は米軍普天間飛行場の移設先として辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認申請書を県に提出した当時から、「普天間の危険性除去は喫緊の課題、固定化は絶対に避けなければならない」と言い続けてきた。

 しかし「なぜ辺野古なのか」「なぜ県外ではないのか」の詳しい説明はない。県の頭越しに現行案を決め「唯一の選択肢」と繰り返すだけ。そこに委員会が言う「合理的な疑い」が生じている。

 海兵隊の「抑止力論」が色あせてしまった今、辺野古への移設を見直すことが、むしろ普天間の危険性除去の近道と考える県民は多い。

 埋め立ての根拠を問うのは、米側と本気になって交渉し沖縄の負担軽減を図ろうとしない政府の姿勢を問うことにもつながっている。

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 報告書は公有水面埋立法で埋め立ての免許基準とされる「環境保全への十分な配慮」「埋め立てが国や地方公共団体の計画に違背していない」についても、法的瑕疵を指摘している。

 委員会が重く見たのは、生物多様性の豊かさと独自の生態系が守られるのかといった環境面の課題である。

 ジュゴンの保護策一つをとっても、国の環境影響評価書では「辺野古地先を利用する可能性は小さい」となっていたが、実際は環境団体が多数の食(は)み跡を確認するなど、国の予測や保全策の不備は明らかだ。にもかかわらず、前県政は「ジュゴン保全に関する科学的知見が少なく現時点で取り得る対策は講じている」という曖昧な理由で埋め立てを承認した。

 辺野古ありきの国の姿勢とその政治的圧力に、県の承認判断がゆがめられた可能性がある。

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 翁長知事は、8月中にも埋め立て承認取り消しを表明する。

 3月に知事が出した新基地建設作業の停止指示を、沖縄防衛局が行政不服審査法による手続きで「無効」にした時と同様、承認取り消しも「無効」とされる恐れがある。地方自治法に基づき国が取り消しの是正を求める対応も想定される。いずれにしても法廷闘争となる公算が大きい。

 県に求めたいのは承認取り消し後、国が工事を強行した時の具体的な対抗策だ。「法治国家」を強調する国には、示された「法的瑕疵」に真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。