沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)は17日までに、日本で生態が明らかになっていなかった大衆魚、ミズン(沖縄名・ミジュン)の産卵や成長過程を解明したと発表した。沖縄本島近海のミズンは、赤道近くのものに比べて繁殖期が短く、本島が繁殖のほぼ北端であることなどを突き止めた。ミズンは食用だけでなく、カツオ漁の生き餌の大半を占めることから、生態解明が「カツオの町」として知られる本部町のカツオ漁振興にもつながると期待している。

ミズンの成魚

ミズンの産卵や成長過程を解明した岡慎一郎さん(左)と宮本圭さん

ミズンの成魚 ミズンの産卵や成長過程を解明した岡慎一郎さん(左)と宮本圭さん

 同財団総合研究センターの岡慎一郎技師(39)と宮本圭契約職員(30)が研究し、成果は魚類に関する国際学術雑誌「ジャーナル・オブ・アプライド・イクチオロジー」に掲載された。

 2011年1月から2年間、本島北部近海で採集した稚魚から成魚まで約2千尾を分析。産卵期は3~8月で寿命は約1年、春から初夏に生まれた稚魚は11月ごろまでに体長約11センチの成魚サイズになり、その後は産卵を終えるまで成長が停滞することが分かった。

 インド洋・太平洋の熱帯・亜熱帯地域に広く分布するが、沖縄本島が繁殖のほぼ北限となることも解明した。赤道近くでは1年をかけ成長するのに対し、沖縄の個体群は半年前後で急速に大きくなる違いがあり「水温が低い北限という厳しい気候条件のもと、限られた産卵期で効率的に子孫を残すために獲得された特徴」とみている。

 同財団は10年11月、本部町、本部漁業協同組合とともに町水産業振興協議会を立ち上げ、カツオ漁の再興に向けた取り組みに着手。カツオの一本釣り用の生き餌を安定確保することを重要課題と位置付けてきた。

 岡技師は、ライトに寄ってくるミズンの習性を利用した集魚トラップも開発中とした上で、「この装置の実用化と研究で得られた知見を組み合わせて活用することで、カツオ漁の振興とみじゅんの資源管理の両立に貢献できると考える」と話している。