興南が一丸の堅守でリズムをつくり、逆転で5年ぶりの甲子園切符を勝ち取った。19日、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた第97回全国高校野球選手権沖縄大会決勝は、第1シードの興南が4-2で第2シードの糸満を破って62校の頂点に立った。

糸満-興南 6回表糸満2死一塁、金城乃亜の二塁打で本塁を狙う一走金城旭貞を、興南捕手の佐久本一輝がタッチアウトにする=沖縄セルラースタジアム那覇(松田興平撮影)

 興南は0-1の五回裏1死一、二塁、代打の二宮尚寛が一、二塁間を破るヒットを放ち、二走の石川涼が同点のホームイン。さらに1死二、三塁とし、9番比屋根雅也の左犠飛で2-1と逆転に成功した。

 六回に2-2の同点にされたその裏1死二塁、4番喜納朝規の左翼線を破る二塁打で3-2と再び勝ち越し。七回には1死二塁から比屋根のライトオーバー二塁打で4点目を入れ、糸満を突き放した。

 投げてはエース比屋根が再三のピンチを背負いながらも、粘りの投球。味方の好守にも救われながら強打の糸満打線を2点に抑え、完投した。

 興南の甲子園出場は、島袋洋奨(現ソフトバンク)を擁して春夏連覇した2010年以来となる。

 【評】興南は先制を許しながらも、左翼手・具志堅大輝の三回のダイビングキャッチや、五回のスクイズ阻止など、好守でリズムを取り戻した。2-2で迎えた六回1死二塁、4番喜納朝規の二塁適時打で勝ち越し、七回1死二塁では9番比屋根雅也の右越え二塁打で4-2と突き放した。

 糸満は1-0の五回、1死三塁の好機でスクイズ失敗。六回には2-2の同点とした直後の2死一塁、7番金城乃亜の二塁打で一走・金城旭貞が本塁突入したが阻止されるなど、あと1点が遠かった。

■スクイズ阻止 反撃呼ぶ 糸満の足封じた中継

 0-1の五回、興南は1死三塁のピンチを迎えた。追加点を与えれば流れが糸満に傾く場面に、興南ベンチが動く。「スクイズが来るぞ」。伝令を伝え聞いた捕手の佐久本一輝は「ワンバウンドを投げてもいいぞ」と、マウンドの比屋根雅也にサインを送った。

 1ボールからの2球目、バッテリーは気配を感じた。スクイズを完全に外すと三走を挟殺し、切り抜けた。

 「勝敗を左右する大きいプレー」(我喜屋優監督)と振り返るピンチをしのいだチームはその裏、それまで1安打に抑えられていた打線に火が付いた。

 1死走者なしで、ここまで打率1割台の石川涼が「早く打ちたかった」と右翼フェンス直撃の二塁打。代打二宮尚寛が右前適時打で続き同点にすると、さらに比屋根の左犠飛で2-1と逆転に成功した。

 直後の六回、糸満に同点とされ、さらに長打で一走に本塁を狙われたが、右翼・石川-二塁・仲響生-佐久本の中継プレーで阻止。流れを渡さずその裏、2連続三振を喫していた4番喜納朝規が「迷惑を掛けていた分、絶対に打ちたかった」と左翼線に決勝の適時二塁打。七回には比屋根のタイムリーで4点目を挙げ、試合を決めた。

 2010年の春夏連覇以降のチームは周囲の期待が重圧となり、甲子園切符をつかめずにいた。堅守でその壁を乗り越えた比嘉龍寿主将は「興南らしく戦いたい」。再び聖地で、興南が旋風を巻き起こす。(粟国祥輔)

■我喜屋監督「辛抱強く戦った」

 5年ぶりの優勝を決めた興南の我喜屋優監督は、2010年の春夏連覇以来の甲子園に「当時のことは忘れた」と笑った。

 この間、チームは連覇した先輩たちと比較されることに苦しんできた。我喜屋監督も同じで「私自身悩みながらチームをつくり、今日まで来た」と振り返る。

 「自分たちで新しい興南をつくろう」と呼び掛けると、ナインは見事期待に応えた。大会を通して「強い興南が帰ってきた」と言い続け、「辛抱強く戦ってくれた」とたたえた。

 5年ぶりに聖地へ向かう指揮官は「目の前の敵と全力で戦うだけ」と引き締めた。